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気になる土地が防火地域にあって、『耐火建築物にすると建ぺい率が上がる』と聞いたけれど、どれくらい上がるのか分からない。そんな方も多いはずです。
結論から言うと、防火地域の建ぺい率は、耐火建築物等を建てれば10%上がります。さらに指定建ぺい率が80%の地域なら、建ぺい率の制限そのものがなくなります。
この記事では、防火地域の緩和を「指定80%の地域」と「それ以外」に分けて、自分の土地でどうなるかをお伝えしますね。
防火地域の建ぺい率は?結論は「耐火建築物等なら+10%か制限なし」
防火地域で耐火建築物等を建てると、建ぺい率は10%上乗せされます(53条3項)。指定建ぺい率80%の地域では上乗せではなく、建ぺい率の制限がなくなります(53条6項)。
建ぺい率(建蔽率)は、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。建築面積は、建物を真上から見た時の外壁や柱の中心線で囲まれた広さを言います。
防火地域は、火事が燃え広がらないよう建物の造りをとくに厳しくしている地域です。都市計画で決められていて、自治体の都市計画図で確かめられます。
耐火建築物は、火に強い造りとして法律で決められた建物のことです。条文の「耐火建築物等」には、それと同等以上の延焼防止性能を持つものとして政令で定める建物も含まれます。
| 指定建ぺい率 | 耐火建築物等を建てた時 | それ以外の建物の時 |
|---|---|---|
| 80%以外(30〜60%など) | 10%上乗せ | 緩和なし |
| 80% | 制限なし | 緩和なし |
『防火地域なら誰でも10%上がる』わけではないんです。建てる建物が耐火建築物等であることが条件になります。
いつからある決まり?
国土交通省の資料では、防火地域内の耐火建築物の10%緩和は昭和25年に作られ、平成30年に改正されたとされています。指定80%の地域で制限がなくなる決まりは、昭和27年に作られました。
「指定80%の地域」と「それ以外の地域」で分かれる
防火地域の緩和は、まず指定建ぺい率が80%かどうかで道が分かれます。次に、建物が耐火建築物等かどうかで答えが決まります。
条文を読むと、3項の10%緩和は防火地域のうち「建ぺい率の限度が10分の8とされている地域を除く」と書かれています。一方、6項の制限なしは80%の地域に「限る」とされているんです。
つまり、80%の地域とそれ以外で、使う条文が入れ替わる仕組みになっています。

- 土地が防火地域に入っているか、都市計画図で確かめる
- 指定建ぺい率が80%かどうかを確かめる
- 建てる建物が耐火建築物等かどうかを確かめる
- 角地の緩和も乗るかどうかを確かめる
指定建ぺい率80%が選べるのは、第一種・第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、近隣商業地域、商業地域です。商業地域は80%しか選べないので、防火地域の商業地域で耐火建築物等を建てると制限なしになります。
用途地域ごとに見るとこうなる
防火地域で耐火建築物等を建てた時、用途地域ごとに選べる数値がどう変わるかを並べてみました。
| 用途地域 | 選べる指定建ぺい率 | 防火地域で耐火建築物等なら |
|---|---|---|
| 低層住居専用・中高層住居専用・田園住居・工業専用 | 30・40・50・60% | 40・50・60・70% |
| 第一種・第二種住居、準住居、準工業 | 50・60・80% | 60・70%、80%の所は制限なし |
| 近隣商業 | 60・80% | 70%、80%の所は制限なし |
| 商業 | 80% | 制限なし |
| 工業 | 50・60% | 60・70% |
同じ用途地域でも、指定が60%か80%かで結果ががらりと変わりますよね。土地の資料では、用途地域の名前と一緒に指定建ぺい率の数値も見ておきましょう。
例えば100㎡の土地なら
敷地100㎡の防火地域の土地で、建てられる建築面積を比べてみます。数字は説明用の例です。
| 指定建ぺい率と建物 | 建ぺい率 | 建築面積の上限 |
|---|---|---|
| 60%・耐火建築物等以外 | 60% | 100㎡×0.6=60㎡ |
| 60%・耐火建築物等 | 70% | 100㎡×0.7=70㎡ |
| 60%・耐火建築物等・角地 | 80% | 100㎡×0.8=80㎡ |
| 80%・耐火建築物等以外 | 80% | 100㎡×0.8=80㎡ |
| 80%・耐火建築物等 | 制限なし | 建ぺい率では制限されない |

80%の地域の考え方は、商業地域・近隣商業地域の建ぺい率でもくわしく見ています。
制限なしといっても、どんな大きさでも建てられるわけではありません。容積率や高さの制限など、ほかの決まりは変わらずかかります。建ぺい率の上限の考え方は建ぺい率の上限で紹介しています。
防火地域で準耐火建築物だと緩和はない?
防火地域では、準耐火建築物等を建てても建ぺい率の緩和はありません。準耐火建築物等で緩和が使えるのは準防火地域です。
『準耐火でも火に強いのに、なぜ防火地域では緩和がないの?』と思いますよね。条文上、防火地域で緩和の対象になるのは耐火建築物等だけ、という決まりなんです。
| 地域 | 耐火建築物等 | 準耐火建築物等 |
|---|---|---|
| 防火地域(指定80%以外) | +10% | 緩和なし |
| 防火地域(指定80%) | 制限なし | 緩和なし |
| 準防火地域 | +10% | +10% |
準防火地域の緩和は、平成30年の改正で新しく加わったものです。くわしくは準防火地域の建ぺい率緩和で紹介しています。
耐火か準耐火かで、建てられる広さはどれくらい違う?
敷地100㎡、指定60%の防火地域で比べてみます。準耐火建築物等なら緩和がないので60%のまま60㎡、耐火建築物等なら70%で70㎡です。
差は10㎡、1坪約3.3㎡で換算するとおよそ3坪になります。この差を取りにいくか、建物の造りとのバランスで考えるかは、住宅会社と相談しながら決めていくと納得しやすいですよ。
「準耐火で建てた場合と耐火で建てた場合、1階の広さはどれくらい変わりますか?」
「この土地だと10㎡ほど違うので、両方の案で間取りを比べてみましょう」
木造の家で防火地域の緩和は使える?
木造で防火地域に建てる時の建ぺい率、ここでは仮に木防建ぺい率と呼んでおきます。気になるのは『木造だと緩和は無理なの?』という点ですよね。
条文の条件は、木造か鉄骨かといった材料ではなく、耐火建築物等に当たるかどうかです。木造の家がその条件に合う設計にできるかは、住宅会社や建築士に確かめてみてください。
「防火地域なので、建ぺい率の緩和を使える造りにできますか?」
「耐火建築物等として設計できるか、仕様を含めて確認しますね」
打ち合わせの早い段階で、こう聞いておくと安心です。
防火地域の緩和で気をつけたいこと
防火地域の緩和は、敷地が地域の境目にまたがる時や、角地と重なる時に計算が変わります。建物の造りで費用や間取りも変わるので、早めに確かめておきましょう。
緩和の条件は分かっても、実際の土地では少しややこしい場面が出てきます。
- 敷地の全部が防火地域か、一部だけかを確かめる
- 指定建ぺい率が80%かどうかを確かめる
- 耐火建築物等として建てる前提で計画するか決める
- 角地の緩和も乗るかを、自治体の基準で確かめる
敷地が防火地域の内外にまたがる時
53条7項では、防火地域の内外にまたがる敷地で、敷地内の建物が全部耐火建築物等なら、敷地全体を防火地域内とみなすとしています。この場合、3項と6項の防火地域の決まりが敷地全体に使われます。
反対に、一部でも耐火建築物等でない建物があると、このみなしは使えません。物置など小さな建物を置く時も、設計の段階で相談しておきましょう。
『防火地域だから、建ぺい率は自動的に上がる』と考えてしまうことがあります。緩和が乗るのは耐火建築物等を建てた時だけです。土地の資料の数値に、そのまま10%を足して考えないようにしましょう。
角地と重なる時の計算
防火地域の緩和と角地の緩和は、両方そろえば20%の上乗せになります。例えば敷地150㎡、指定60%の防火地域の角地に耐火建築物等を建てるなら、150㎡×0.8=120㎡が建築面積の上限です。
指定80%の防火地域では、耐火建築物等なら制限なしなので、角地かどうかは結果に関係しません。耐火建築物等以外の建物なら、角地の分だけ乗って90%になります。
角地の緩和と重なる場合の条件は、建ぺい率の緩和でまとめています。
よくある相談:防火地域の建ぺい率で迷うところ
防火地域の建ぺい率でよく読まれている相談は「80%の準防火地域で耐火なら90%?」「防火地域で準耐火に緩和がないのはなぜ?」「80%の防火地域で耐火なら許可が要る?」の3つです。
知恵袋などでよく見かける相談を、要約して答えてみます。
指定80%の準防火地域に耐火建築物なら90%?
「商業地域など指定80%で準防火地域の場所に、耐火建築物を建てたら90%になるか」という相談です。
はい、準防火地域の緩和には80%の地域を除く決まりがないので、80%に10%乗って90%です。防火地域だった場合は、90%ではなく制限なしになります。
防火地域の準耐火建築物に緩和がないのはなぜ?
「防火地域内の準耐火建築物には、建ぺい率の緩和がないのはなぜか」という相談も読まれています。
答えは、条文が防火地域では耐火建築物等だけを対象にしているからです。準耐火建築物等が対象になるのは準防火地域で、地域によって求める造りが違うと考えておくと覚えやすいですよ。
指定80%の防火地域で耐火建築物なら、許可が要る?
「80%の区域で防火地域内の耐火建築物が建ぺい率の限度を超えるには、特定行政庁の許可が要るか」という相談です。宅建試験でも、令和6年度に同じ論点が問われています。
53条6項1号は、この建物には建ぺい率の決まりを「適用しない」としています。許可を受けて超えるのではなく、はじめから建ぺい率の制限がかからない、という仕組みです。
| 相談 | 答え |
|---|---|
| 80%の準防火地域で耐火なら? | 90%になる |
| 防火地域で準耐火なら? | 緩和なし |
| 80%の防火地域で耐火なら許可が要る? | 許可ではなく、はじめから制限なし |
防火地域の土地では、建物の造りしだいで建てられる広さが変わりますよね。最後は土地のある自治体の建築指導課や、設計を頼む建築士・住宅会社に確かめておけば安心です。
耐火建築物等で建てた時にどんな間取りになるか、住宅会社に具体的なプランで出してもらって比べる方法もあります。
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よくある質問
防火地域で耐火建築物を建てると建ぺい率はどうなりますか?
指定建ぺい率が80%以外の地域なら10%上乗せされます。指定80%の地域なら、建ぺい率の制限がなくなります。
防火地域の準耐火建築物に建ぺい率の緩和はありますか?
ありません。防火地域で緩和の対象になるのは耐火建築物等だけです。準耐火建築物等で緩和が使えるのは準防火地域です。
建ぺい率80%の防火地域では、耐火建築物なら100%まで建てられますか?
建ぺい率の制限がかからないので、建ぺい率の面では上限がなくなります。ただ、容積率や高さなどほかの決まりはかかるので、実際に建てられる大きさはそれらで決まります。
耐火建築物と同じくらいの性能の建物でも緩和は使えますか?
条文の「耐火建築物等」には、耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を持つものとして政令で定める建物も含まれます。当てはまるかは設計の内容で決まるので、建築士や住宅会社に確かめてみてください。
防火地域で角地の緩和も使えますか?
使えます。指定80%以外の地域なら、耐火建築物等の10%と角地の10%を合わせて20%上乗せされます。
まとめ
- 防火地域で耐火建築物等を建てると、建ぺい率は10%上乗せされる
- 指定建ぺい率80%の地域なら、上乗せではなく制限なしになる
- 防火地域では、準耐火建築物等に建ぺい率の緩和はない
- 敷地が防火地域の内外にまたがる時は、全部耐火建築物等なら全体を防火地域とみなす
- 制限なしでも、容積率や高さなどほかの決まりはかかる





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