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商業地の土地を見ていたら、資料に『建ぺい率の制限なし』と書かれていて驚いた。宅建の勉強で「適用除外」が出てきて、緩和との違いがあいまいなまま。そんな方も多いはずです。
結論から言うと、建ぺい率の適用除外になるのは、建築基準法53条6項に挙がった3つの場合だけです。いちばん身近なのは「指定建ぺい率80%の防火地域に建てる耐火建築物等」なんです。
この記事を読むと、どんな建物と場所なら制限がなくなるのか、10%の緩和とどう違うのかが分かりますよ。
建ぺい率の適用除外とは?制限がなくなる3つの場合
建ぺい率の適用除外とは、建ぺい率の決まり(53条1項から5項)がその建物にかからないことです。対象は条文に挙がった3つだけで、それ以外の建物は上限を守る必要があります。
建ぺい率(建蔽率)は、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。建築面積は、建物を真上から見た時に、外壁や柱の中心線で囲まれた広さを言います。
ふつうは、都市計画で決められた数値(例えば60%)を超えて建てることはできません。ところが53条6項には「前各項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない」と書かれています。
この「適用しない」が、いわゆる適用除外です。3つの場合を表にすると、こうなります。
| 号 | 対象 | 条件 |
|---|---|---|
| 1号 | 防火地域にある耐火建築物等 | 指定建ぺい率が80%の地域に限る |
| 2号 | 巡査派出所・公衆便所・公共用歩廊など | これらに類するものも含む |
| 3号 | 公園・広場・道路・川などの中にある建物 | 特定行政庁が支障がないと認めて許可したもの |
特定行政庁は、建築の許可や確認を受け持つ自治体のことです。多くの場合、市や県の建築指導課などが窓口になっています。
制限なしは、いつからある決まり?
国土交通省の資料では、1号と2号は昭和27年、3号は昭和34年に作られたとされています。どれも長く続いている決まりなんですね。
建ぺい率そのものの考え方は、建ぺい率とは?意味と計算方法でまとめています。
「地域と構造」「建物の用途」「許可」の3つに分けて覚える
3つの適用除外は、何がそろえば制限がなくなるかで分けると覚えやすくなります。1号は場所と建物の造り、2号は建物の使い道、3号は役所の許可です。
条文の順番で覚えようとすると、『どれが許可の要るものだっけ?』と混ざってしまいますよね。そこで、この記事では「何が決め手か」で3つに分けてみました。
| 分け方 | 当てはまる号 | 決め手 | 自分の家に関係するか |
|---|---|---|---|
| 地域と構造の条件 | 1号 | 指定80%の防火地域かつ耐火建築物等 | 商業系などの土地なら関係する |
| 建物の用途 | 2号 | 派出所・公衆便所・公共用歩廊など | ほぼ関係しない |
| 許可 | 3号 | 公園・広場・道路・川などの中で許可 | ほぼ関係しない |

地域と構造の条件:指定80%の防火地域にある耐火建築物等
家を建てる人にとって大事なのは、ほぼこの1号だけです。次の3つが全部そろった時に、制限がなくなります。
- 土地が防火地域に入っている
- その土地の指定建ぺい率が80%になっている
- 建てる建物が耐火建築物等になっている
防火地域は、火事が燃え広がらないよう、建物の造りをとくに厳しくしている地域です。耐火建築物等は、耐火建築物か、それと同等以上の延焼防止性能を持つものとして政令で定める建物を指します。
指定建ぺい率80%を選べるのは、第一種・第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、近隣商業地域、商業地域です。商業地域は80%しか選べないので、防火地域の商業地域ならこの条件に当てはまりやすいんです。
建物の用途:派出所や公衆便所など
2号は、巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するものです。公共用歩廊は、人が通るための屋根付きの通路のような物をイメージすると分かりやすいですよ。
どれも、まちの人みんなが使う小さな施設です。自分の家を建てる時に関係することは、まずありません。
許可:公園・広場・道路・川などの中の建物
3号は、公園、広場、道路、川その他これらに類するものの中にある建物です。特定行政庁が、安全上・防火上・衛生上支障がないと認めて許可したものに限られます。
この許可には、建築審査会の同意が要る決まりになっています。建築審査会は、自治体に置かれる専門家の会のことです。
10%の緩和と適用除外はどう違う?
緩和は「上限が10%(または20%)上がる」こと、適用除外は「上限そのものがなくなる」ことです。防火地域では、指定80%かどうかでどちらになるかが入れ替わります。
『防火地域で耐火建築物なら10%上がるんじゃなかった?』と思った方もいるはずです。実は、その10%緩和(53条3項)は、防火地域のうち指定80%の地域を除くと書かれているんです。
反対に、6項の適用除外は指定80%の地域に「限る」とされています。80%の地域とそれ以外で、使う条文が入れ替わる仕組みなんですね。
- 上限が10%上がる(2つ重なれば20%)
- 角地、防火地域・準防火地域の耐火建築物等などが対象
- 防火地域では指定80%の地域を除く
- 建ぺい率の上限そのものがかからない
- 対象は条文の3つだけ
- 防火地域では指定80%の地域に限る
敷地100㎡で比べてみると
例として、敷地100㎡の土地で建築面積の上限を比べてみます。数字は説明のための例です。
| 土地と建物の例 | 建ぺい率 | 建築面積の上限 |
|---|---|---|
| 防火地域・指定60%・耐火建築物等 | 60+10=70% | 100㎡×0.7=70㎡ |
| 防火地域・指定80%・耐火建築物等以外 | 80% | 100㎡×0.8=80㎡ |
| 防火地域・指定80%・耐火建築物等 | 制限なし | 建ぺい率では決まらない |
| 防火地域ではない商業地域・角地 | 80+10=90% | 100㎡×0.9=90㎡ |

同じ商業地域でも、防火地域かどうか、建物の造りがどうかで、答えがまったく違いますよね。緩和の全体像は建ぺい率の緩和、防火地域の分かれ方は防火地域の建ぺい率緩和でくわしく見ています。
制限なしでも、敷地いっぱいに建てられるとは限らない
適用除外で外れるのは建ぺい率の決まりだけです。容積率や高さの制限など、ほかの決まりは変わらずかかります。
『制限なしなら、土地の端から端まで建てていいんだ』と考えたくなりますよね。ただ、建物の大きさを決めるのは建ぺい率だけではありません。
「建ぺい率の制限なし=何でも建てられる」と思い込んで、容積率や高さの制限を見落とすことがあります。土地の資料では、建ぺい率以外の項目もあわせて見ておきましょう。
建ぺい率の上限がどこまで上がるのかは、建ぺい率の上限で数値と一緒にまとめています。
敷地が防火地域の内と外にまたがる時
53条7項では、敷地が防火地域の内と外にまたがる場合の扱いも決めています。敷地内の建物が全部耐火建築物等なら、敷地全体を防火地域の中とみなして、3項1号と6項1号を当てはめます。
一部でも耐火建築物等でない建物があると、このみなしは使えません。小さな付属の建物を置く予定があるなら、設計の段階で伝えておくと安心です。
「敷地の一部が防火地域の外なんですが、制限なしは使えますか?」
「敷地内の建物を全部耐火建築物等にすれば、敷地全体を防火地域の中とみなして考えられますよ」
都市計画区域の外も「制限なし」に見える
似た話として、都市計画区域や準都市計画区域の外では、53条そのものが適用されません(41条の2)。ただ、これは6項の適用除外とは別の理由です。
都道府県知事が指定する区域では、条例で別の制限を決められる場合もあります。くわしくは都市計画区域外の建ぺい率を見てみてください。
よくある相談:適用除外でつまずきやすいところ
相談で多いのは「なぜ80%の防火地域だけ制限がなくなるのか」「許可は要るのか」「角地の緩和と重なるとどうなるか」の3つです。
Q&Aサイトで多く読まれている相談を、要約して答えてみます。宅建やFPの勉強中の方からの質問が目立ちます。
緩和なら90%なのに、なぜ制限なしになるの?
「80%の地域で防火地域なら、10%緩和で90%になるはずでは?」という相談はよく読まれています。混乱するのは自然なことです。
答えは、80%の防火地域は3項の10%緩和の対象から外され、代わりに6項で制限なしになる、という条文の組み立てだからです。「100%になる」と言われることがありますが、正しくは「建ぺい率の制限がかからない」なんです。
制限なしにするには、役所の許可が要る?
宅建の過去問(令和6年度 問18)でも、「80%かつ防火地域の耐火建築物が限度を超えるには、特定行政庁の許可が要る」かどうかが問われています。
1号の適用除外は、条件に当てはまれば決まりがかからない、という仕組みです。許可が要るのは3号(公園などの中の建物)なので、そこを入れ替えないようにしておきましょう。
商業地域の角地だと何%になる?
「商業地域で特定行政庁が指定した角地なら何%か」という相談もあります。防火地域でなければ、商業地域の80%に角地の10%が加わって90%です。
防火地域で耐火建築物等なら、角地かどうかに関係なく1号で制限なしになります。宅建の論点の整理は宅建試験の建ぺい率で紹介しています。
適用除外を使う土地で家を建てる時は
制限なしが使えるかどうかは、土地の条件と建物の造りの両方で決まります。土地を決める前に、都市計画図と設計の両方から確かめておくと安心です。
商業地域や近隣商業地域で店舗付きの家を考えている時などは、適用除外が使えるかどうかで1階の広さが大きく変わります。
- 都市計画図で、防火地域かどうかと指定建ぺい率を確かめる
- 指定80%なら、耐火建築物等で建てる前提にするか決める
- 敷地が防火地域の内外にまたがっていないか確かめる
- 容積率や高さの制限で、建てられる広さを確かめる
- 最後に自治体の建築指導課や建築士に計画を見てもらう
打ち合わせでは、こんな聞き方をすると話が早いですよ。
「この土地は指定80%の防火地域なので、耐火建築物等にすれば建ぺい率の制限はかからないですよね?」
「はい。ただ容積率と高さの制限があるので、その範囲で何階まで建てられるか出してみますね」
制限なしの土地では、建ぺい率よりも容積率や建物の造りが間取りを決めることになります。どこまで広く建てられるかは、具体的なプランで見比べるのがいちばん分かりやすい方法です。
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よくある質問
建ぺい率の適用除外になるのはどんな場合ですか?
指定建ぺい率80%の防火地域にある耐火建築物等、巡査派出所や公衆便所などの建物、公園・広場・道路・川などの中で許可を受けた建物の3つです。それ以外は建ぺい率の上限がかかります。
準防火地域でも建ぺい率の制限なしになりますか?
なりません。準防火地域で耐火建築物等や準耐火建築物等を建てた時は、10%の緩和になります。制限なしになるのは、指定80%の防火地域にある耐火建築物等です。
建ぺい率の制限なしなら、どんな大きさでも建てられますか?
いいえ。外れるのは建ぺい率の決まりだけで、容積率や高さの制限などはかかります。土地の資料で、ほかの項目もあわせて確かめてみてください。
指定80%の防火地域で、耐火建築物等でない家を建てるとどうなりますか?
適用除外にはならず、80%が上限です。敷地100㎡なら、建築面積は80㎡までになります。
まとめ
- 建ぺい率の適用除外は、53条6項に挙がった3つの場合だけ
- 家づくりで関係するのは「指定80%の防火地域にある耐火建築物等」
- 10%緩和は上限が上がること、適用除外は上限がなくなること
- 制限なしでも、容積率や高さの制限はかかる
- 使えるかどうかは、都市計画図と設計の両方で確かめる





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