建ぺい率の緩和|角地・防火地域で10%上がる条件をわかりやすく

建ぺい率の緩和を紹介する記事のアイキャッチ。角地に建つ家と敷地図、家の模型

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「この土地は角地だから建ぺい率が10%上がる」と言われたけれど、本当に自分の家でも使えるのか分からない。そんなモヤモヤを抱えている方も多いはずです。

結論から言うと、建ぺい率の緩和は「角地」と「防火地域・準防火地域で火に強い建物を建てる」の2種類で、それぞれ10%ずつ上乗せされます。両方そろえば20%、場所と建物によっては制限そのものがなくなります。

この記事では、建ぺい率の緩和を4つの箱に分けて、自分の土地がどこに入るかを判定できるようにお伝えしますね。

目次

建ぺい率の緩和とは?わかりやすく言うと「10%ずつの上乗せ」

先に結論

建ぺい率の緩和は、建築基準法53条3項で決まっています。角地か、防火の条件のどちらかに当てはまれば10%、両方なら20%、指定建ぺい率に上乗せされます。

建ぺい率(建蔽率)は、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。建築面積は、建物を真上から見た時の外壁や柱の中心線で囲まれた広さを言います。

土地の資料に載っている「60%」などの数値は、都市計画で決められた指定建ぺい率です。緩和は、そこに条件つきで足される分なんです。

条文では「10分の1を加える」と書かれています。つまり、60%の土地なら10パーセント足して70%になる、という意味です。

条件(53条3項)上乗せ緩和要件のポイント
1号:防火地域・準防火地域の条件10%地域の種類と、建物が耐火建築物等・準耐火建築物等かどうか
2号:角地の条件10%特定行政庁が指定する角地などの敷地かどうか
1号と2号の両方20%上の2つが同時にそろうこと

特定行政庁は、建築のルールを地域で運用している自治体のことです。多くの場合は市や都道府県がこれにあたります。

緩和と「制限なし」は別の仕組み

もう1つ覚えておきたいのが、53条6項の適用除外です。これは上乗せではなく、建ぺい率の制限そのものがかからなくなる特例なんです。

代表的なのは、指定建ぺい率が80%の地域で、防火地域内に建てる耐火建築物等です。くわしくは後の判定フローで見ていきます。

緩和の決まりはいつからある?

国土交通省の資料によると、角地の緩和と防火地域内の耐火建築物の緩和は昭和25年に作られました。準防火地域内の建物の緩和は平成30年の改正で新しく加わったものです。

この改正は令和元年(2019年)6月25日に全面施行されています。それより前に建てた家の話と今の話では、使える緩和が違うこともあるので覚えておきましょう。

建ぺい率の緩和を4つの箱に分ける判定フロー

ここでの結論

建ぺい率の緩和は「角地で+10%」「防火・準防火で+10%」「両方で+20%」「制限なし」の4つの箱に分けられます。順番に問いに答えていけば、自分の土地がどの箱に入るか分かります。

緩和の話は条件が入り組んでいて、読んでいるうちに混乱しますよね。そこで、問いに答えるだけで箱が決まる形にしてみました。

建ぺい率の緩和を、制限なし、防火・準防火で10%、角地で10%、両方で20%の4つの箱に振り分ける判定フローの図解
自分の土地の箱を決める4つの問い
  1. 指定建ぺい率80%の地域で、防火地域内に耐火建築物等を建てるか。はいなら「制限なし」の箱
  2. 防火地域で耐火建築物等、または準防火地域で耐火建築物等・準耐火建築物等を建てるか。はいなら「防火・準防火で+10%」の条件を満たす
  3. 特定行政庁が指定する角地か。はいなら「角地で+10%」の条件を満たす
  4. 2と3の両方を満たすなら「両方で+20%」の箱

1つ目の問いだけ、上乗せではなく制限なしになる点に注意してください。80%の地域の防火地域は、3項の上乗せの対象から外されていて、代わりに6項で制限なしになる仕組みなんです。

4つの箱を並べるとこうなる

箱当てはまる条件指定60%の土地なら指定80%の土地なら
角地で+10%特定行政庁が指定する角地70%90%
防火・準防火で+10%防火地域(80%地域を除く)の耐火建築物等、準防火地域の耐火建築物等・準耐火建築物等70%90%(準防火地域の場合)
両方で+20%上の2つが同時にそろう80%100%(準防火地域の場合)
制限なし80%地域の防火地域内の耐火建築物等当てはまらない制限なし

指定80%の地域で準防火地域の場合は、3項の上乗せが使えます。角地と合わせると100%まで届くことになります。

例えば120㎡の土地なら

敷地120㎡、指定建ぺい率60%の土地で計算してみます。数字は説明用の例です。

箱建ぺい率建築面積の上限
緩和なし60%120㎡×0.6=72㎡
角地か防火のどちらかで+10%70%120㎡×0.7=84㎡
両方で+20%80%120㎡×0.8=96㎡
敷地120㎡で指定建ぺい率60%の土地に、緩和なし、緩和1つ、緩和2つの順で建てられる建築面積が72㎡、84㎡、96㎡と広がる様子を敷地図で示した図解

緩和が1つ乗るだけで12㎡、2つなら24㎡広く建てられる計算です。1坪は約3.3㎡なので、12㎡はおよそ3.6坪にあたります。

『たった10%でしょ?』と思うかもしれません。ただ、1階の広さが3坪以上変わると、部屋を1つ増やせるかどうかの差になることもあるんです。

指定80%の土地は特に間違えやすい

商業地域などの指定80%の土地は、防火地域か準防火地域かで答えが大きく変わります。敷地100㎡の例で並べてみますね。

地域と建物角地でない角地に当たる
防火地域で耐火建築物等制限なし制限なし
防火地域で準耐火建築物等80%で80㎡90%で90㎡
準防火地域で耐火建築物等・準耐火建築物等90%で90㎡100%で100㎡
準防火地域でそれ以外の建物80%で80㎡90%で90㎡

『防火地域の方が条件が厳しいのに、準耐火建築物だと準防火地域より不利なの?』と感じますよね。条文上はそうなるので、防火地域で緩和を使うなら耐火建築物等にするのが前提になります。

制限なしといっても、敷地いっぱいまで何でも建てられるわけではありません。容積率や高さなど、ほかの決まりは変わらずかかります。

角地で+10%:特定行政庁の指定が条件

ここでの結論

角地の緩和は「街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するもの」が対象です。2本の道路に面しているだけでは足りず、自治体ごとの基準に合う必要があります。

角地の緩和は、53条3項2号で決まっています。条文の言い方は「街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するもの」です。

ここで大事なのは、どんな敷地を角地とするかを、特定行政庁が細則などで決めていることです。そのため、基準は自治体によってかなり違うんです。

角地の緩和のイメージとして、二本の道路が交わる角の敷地に建つ一戸建て

自治体の基準はこんなに違う

主な自治体の角地の基準を、要点だけ並べてみます。

自治体道路が交わる角度道路の幅道路に接する長さ
東京都(細則21条)120度未満角敷地の号には幅の数値なし敷地の周りの3分の1以上
横浜市(細則13条)120度を超えると対象外1号は幅の和が10m以上外周の10分の3以上
大阪市(細則15条)150度以下一方が10m以上、または各4m以上で隅切りあり外周の3分の1以上
名古屋市(条例15条)120度以下各6m以上で和が15m以上総延長の3分の1以上
京都市(細則15条)135度を超えるものを除く各5.5m以上で計14m以上、または敷地200㎡以下全長の4分の1以上

同じような角の土地でも、ある市では緩和が乗り、別の市では乗らない、ということが起こります。角地の条件は角地の建ぺい率緩和でもっとくわしく比べています。

よくある思い込み

『2本の道路に面しているから角地の緩和が使える』と考えてしまうことがあります。実際には、道路の幅や角度、接している長さの条件で外れることも。土地を買う前に、その自治体の基準で確かめておきましょう。

道路の種類にも注意

角地の判定では、面している道が建築基準法上の道路かどうかも見られます。例えば東京都の細則では、2項道路でセットバック部分を道路として整えていないものは、角敷地の「道路」から除くとしています。

2項道路は、幅4m未満でも道路とみなされる道のことです。中心線から2m下がった線が道路の境界とみなされるので、その分を下げて整えておく必要があります。

防火地域・準防火地域で+10%:建物の造りが条件

ここでの結論

防火の緩和は、土地がどの地域にあるかと、建てる建物の造りの組み合わせで決まります。防火地域なら耐火建築物等、準防火地域なら耐火建築物等か準耐火建築物等が条件です。

防火地域・準防火地域は、火事が燃え広がらないよう建物の造りを厳しくしている地域です。都市計画で決められていて、都市計画図で確かめられます。

耐火建築物と準耐火建築物は、火に強い造りとして法律で決められた建物のことです。耐火建築物の方が、より高い性能が求められます。

地域耐火建築物等準耐火建築物等それ以外の建物
防火地域(指定80%以外)+10%緩和なし緩和なし
防火地域(指定80%)制限なし緩和なし緩和なし
準防火地域+10%+10%緩和なし
どちらでもない地域緩和なし緩和なし緩和なし

『防火地域なのに準耐火建築物だと緩和がないの?』と驚く方もいますよね。条文上、防火地域で緩和の対象になるのは耐火建築物等だけなんです。

くわしくは防火地域の建ぺい率緩和と準防火地域の建ぺい率緩和で、それぞれ見ています。

「等」が付いているのはなぜ?

条文の「耐火建築物等」「準耐火建築物等」には、それと同等以上の延焼防止性能を持つものとして政令で定める建物も含まれます。延焼防止性能は、隣へ火が燃え移りにくい性能のことです。

自分の家がどれに当たるかは、設計の段階で決まります。緩和を使いたいなら、早めに住宅会社や建築士に伝えておくと話が早いですよ。

例えば、打ち合わせではこんなやり取りになります。

「準防火地域なので、準耐火建築物にすれば建ぺい率が70%になりますよね?」
「はい、その前提で間取りを組むなら、仕様もそれに合わせて決めていきましょう」

敷地が地域の境目にまたがる時

防火地域の内外にまたがる敷地では、敷地内の建物が全部耐火建築物等なら、敷地全体を防火地域内とみなします(53条7項)。準防火地域とそれ以外にまたがる時も、全部が耐火建築物等か準耐火建築物等なら準防火地域内とみなします(53条8項)。

建ぺい率の緩和を使う時に気をつけたいこと

ここでの結論

緩和は「その土地」だけでなく「その建物」にも条件がかかります。容積率は上がらないこと、ほかの決まりで別の上限があることも押さえておきましょう。

緩和の条件に当てはまりそうでも、実際の計画で使えるかどうかは別の話です。よくつまずくポイントを並べてみます。

緩和を使う前に確かめたいこと
  • 指定建ぺい率と、防火地域・準防火地域の指定を都市計画図で確かめる
  • 角地の基準を、土地のある自治体の細則などで確かめる
  • 建てる家が耐火建築物等・準耐火建築物等として設計できるか住宅会社に聞く
  • 地区計画や建築協定で別の建ぺい率が決まっていないか確かめる
  • 緩和を使った前提で間取りを考えてよいか、建築確認の申請先に確かめる

容積率は上がらない

53条3項の緩和は、建ぺい率だけの話です。容積率まで10%上がるわけではありません。

1階の広さは増やせても、家全体の延べ面積の上限は容積率で決まります。広く建てたい時は、両方の数字で計算しておきましょう。

地区計画などで別の上限があることも

神戸市の案内では、地区計画や建築協定などで建ぺい率の最高限度が決められている場合、特段の定めがない限り角地の緩和は使えないとしています。京都市も、風致地区で決められた建ぺい率は角地の緩和の対象外と案内しています。

『緩和で70%になるはずが、60%のままだった』という時は、こうした別のルールがかかっていないか見てみてください。

カーポートの「1m不算入」とは別の話

カーポートなどで聞く「端から1mは建築面積に入れない」という扱いは、53条3項の緩和とは別の仕組みです。高い開放性がある造りの建物について、建築面積の測り方を変えるものなんです。

建ぺい率の上限が上がるのではなく、数える面積が小さくなるイメージです。条件はカーポートの建ぺい率緩和で紹介しています。

許可で上限を超えられる特例もある

53条4項・5項には、壁面線の指定などがある場合に、特定行政庁の許可で限度を超えられる特例もあります。ただ、国土交通省の資料では、令和7年3月末時点の許可実績は4項で全13件、5項で0件とされています。

一般の家づくりで使う場面はかなり限られると考えておきましょう。制限がなくなる場合は建ぺい率の適用除外でまとめています。

よくある相談:建ぺい率の緩和で迷うところ

ここでの結論

建ぺい率の緩和でよく読まれている相談は「角地と準防火が重なったら?」「建ぺい率40%の角地なら?」「防火の指定がない所でも耐火なら緩和される?」の3つです。

知恵袋などでよく見かける相談を、要約して答えてみます。どれも、4つの箱に当てはめると答えが見えてきますよ。

近隣商業地域・準防火地域・角地なら、角地の緩和は使える?

「近隣商業地域で準防火地域、しかも角地の土地。角地の緩和は使えるのか」という相談です。

角地の緩和は、用途地域の種類で使えなくなるものではありません。特定行政庁の指定する角地に当たれば+10%です。

さらに準防火地域なので、耐火建築物等か準耐火建築物等を建てれば、もう+10%乗ります。近隣商業地域の指定建ぺい率は60%か80%なので、80%の土地なら両方で100%になる計算です。

建ぺい率40%の角地を買うか迷っている

「購入を考えている土地の建ぺい率が40%。道路に面した角地なので、緩和でどれくらい広く建てられるか」という相談もよく読まれています。

角地の指定に当たれば、40%に10%乗って50%です。例えば敷地150㎡なら、建築面積は60㎡から75㎡に広がります。

「この土地、角地の緩和は使えますか?」
「市の基準に合うか、道路の幅と接している長さを確かめてからお答えしますね」

買う前に、不動産会社にこう聞いてみてください。答えが曖昧なら、自治体の窓口で確かめておくと安心です。

耐火建築物でも、防火の指定がない地域では緩和されない?

「耐火建築物にするのに、防火地域・準防火地域の指定がない用途地域だと緩和されないのか」という相談です。

はい、53条3項1号の緩和は、防火地域か準防火地域の中にある建物が対象です。指定のない地域では、耐火建築物にしても防火の+10%は乗りません。

ただし、角地の緩和は防火の指定と関係なく使えます。指定のない地域でも、角地なら+10%の可能性は残っています。

相談どの箱に入るか
近隣商業・準防火・角地角地で+10%、建物次第で両方の+20%
建ぺい率40%の角地指定に当たれば角地で+10%
防火の指定なし・耐火建築物防火の緩和はなし。角地なら+10%

緩和が使えるかどうかで、建てられる家の広さはかなり変わりますよね。最後は土地のある自治体の建築指導課や、設計を頼む建築士・住宅会社に確かめておけば安心です。

緩和を前提にした間取りがどうなるか、住宅会社に具体的なプランで出してもらって比べる方法もあります。

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よくある質問

建ぺい率の緩和要件をわかりやすく言うと?

特定行政庁が指定する角地であること、または防火地域・準防火地域で火に強い造りの建物を建てることです。どちらかで10%、両方で20%上乗せされます。

建ぺい率の10%緩和は誰でも使えますか?

条件に当てはまる土地と建物なら使えます。角地は自治体ごとの基準、防火の緩和は建物の造りが条件なので、計画の段階で確かめておきましょう。

緩和で建ぺい率が100%になることはありますか?

指定80%の土地で、角地と準防火地域の条件が両方そろうと100%になります。指定80%の防火地域内の耐火建築物等は、上乗せではなく制限なしになります。

建ぺい率の緩和で容積率も上がりますか?

上がりません。53条3項の緩和は建ぺい率だけの決まりです。家全体の延べ面積は容積率で決まるので、別に計算しておきましょう。

緩和の特例は昔からありましたか?

角地と防火地域内の耐火建築物の緩和は昭和25年からあります。準防火地域内の建物の緩和は平成30年の改正で加わり、令和元年に施行されました。

まとめ

この記事の要点
  • 建ぺい率の緩和は角地と防火の2種類で、それぞれ10%ずつ上乗せされる
  • 両方そろえば20%、指定80%の防火地域内の耐火建築物等は制限なし
  • 角地の基準は自治体ごとに違うので、土地のある自治体で確かめる
  • 防火地域は耐火建築物等、準防火地域は耐火建築物等か準耐火建築物等が条件
  • 容積率は上がらず、地区計画などで別の上限がかかることもある
建ぺい率ドットコム

建ぺい率ドットコム 編集部

建ぺい率の意味と計算、用途地域ごとの数値、角地や防火地域の緩和、カーポートやバルコニーの扱い、調べ方までを、家づくりや土地探しの前に分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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