当サイトの記事は編集部が法令(e-Gov法令検索)や国土交通省・自治体などの公的な情報を調べて独自に執筆しています。記事内に家づくり・土地活用のサービスへの案内(広告)を含みます。
家を建てる予定の土地が準防火地域にあって、『準耐火建築物なら建ぺい率が上がる』と聞いたけれど、自分の家でも使えるのか気になる。そんな方も多いはずです。
結論から言うと、準防火地域の建ぺい率は、耐火建築物等か準耐火建築物等を建てれば10%上がります。この緩和は2019年に施行された法改正で加わったもので、指定建ぺい率80%の地域でも使えます。
この記事では、改正前と改正後の違いを比べながら、木造住宅で緩和を使う時に確かめたいことをお伝えしますね。
準防火地域の建ぺい率は?結論は「準耐火建築物等でも+10%」
準防火地域で、耐火建築物等か準耐火建築物等を建てると、建ぺい率は10%上乗せされます(建築基準法53条3項1号)。防火地域と違って、準耐火建築物等でも対象になるのがポイントです。
建ぺい率(建蔽率)は、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。建築面積は、建物を真上から見た時の外壁や柱の中心線で囲まれた広さを言います。
準防火地域は、防火地域ほどではないものの、火事が燃え広がらないよう建物の造りに決まりがある地域です。都市計画で決められていて、自治体の都市計画図で確かめられます。
準耐火建築物は、耐火建築物に次ぐ火に強い造りとして法律で決められた建物のことです。条文の「準耐火建築物等」には、それと同等以上の延焼防止性能を持つものとして政令で定める建物も含まれます。
| 準防火地域に建てる建物 | 建ぺい率の緩和 |
|---|---|
| 耐火建築物等 | 10%上乗せ |
| 準耐火建築物等 | 10%上乗せ |
| それ以外の建物 | 緩和なし |
例えば、敷地120㎡で指定建ぺい率60%の準防火地域なら、準耐火建築物等にすれば70%です。建築面積の上限は、120㎡×0.6=72㎡から、120㎡×0.7=84㎡に広がります。
2019年の改正前と改正後で何が変わった?
改正前は、防火の緩和は防火地域内の耐火建築物だけでした。改正後は、準防火地域内の耐火建築物等・準耐火建築物等も10%緩和の対象に加わりました。
『昔はこの緩和がなかったの?』と驚く方もいますよね。実は、準防火地域の建ぺい率緩和は、比較的新しい決まりなんです。

国土交通省の「法律案の概要」では、改正前を「防火地域内の耐火建築物は、建蔽率を1/10緩和」としています。改正案では、これに加えて準防火地域内の耐火建築物・準耐火建築物も1/10緩和するとされました。
- 準防火地域内の耐火建築物等は10%緩和
- 準防火地域内の準耐火建築物等も10%緩和
- 延焼防止性能が同等の建物も対象
- 準防火地域には防火の緩和がなかった
- 防火の緩和は防火地域内の耐火建築物だけ
- 準防火地域では角地の緩和だけが使えた
改正の流れを時系列で
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 平成30年(2018年)6月27日 | 建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)が公布 |
| 令和元年(2019年)6月14日 | 国土交通省が全面施行を発表 |
| 令和元年(2019年)6月25日 | 改正建築基準法が全面施行 |
国土交通省の報道発表では、改正の内容を「防火地域や準防火地域における延焼防止性能の高い建築物について、建蔽率を10%緩和する」と説明しています。建ぺい率の決まりの移り変わりは、建ぺい率の歴史と法改正の流れで紹介しています。
改正前に建てた家を建て替える時は?
『今の家は改正前に建てたから、緩和なしの広さで建っている』という方もいますよね。建て替えや新築の計画は、その時の決まりで建築確認を受けることになります。
つまり、改正前は緩和がなかった準防火地域の土地でも、今から準耐火建築物等で建て直すなら10%の緩和を前提に考えられます。例えば敷地150㎡・指定60%なら、90㎡から105㎡へ、1階に建てられる広さが15㎡増える計算です。
古い本や以前のネット記事では、準防火地域の緩和に触れていないことがあります。調べた情報の時期も見ておくと、混乱しにくいですよ。
木造住宅でも使える?緩和の条件をチェックリストで
条文の条件は、木造か鉄骨かではなく、準耐火建築物等に当たるかどうかです。木造住宅で使えるかは、その家が準耐火建築物等として設計されているかで決まります。
『うちは木造の予定だから関係ないかも』と思っている方もいるかもしれません。ただ、条文が見ているのは材料ではなく、建物が準耐火建築物等に当たるかどうかなんです。
- 土地の全部が準防火地域に入っているか、都市計画図で確かめる
- 指定建ぺい率が何%かを確かめる
- 建てる家を準耐火建築物等として設計するか、住宅会社に確かめる
- 敷地に物置などほかの建物を置く予定があるか整理する
- 角地の緩和も乗るかを、自治体の基準で確かめる
木造の家を準耐火建築物等として設計できるかは、住宅会社や建築士に聞いてみてください。仕様によって費用や間取りも変わることがあるので、早めに伝えておくと話がスムーズです。
「準防火地域なので、建ぺい率の緩和を使える造りで考えたいです」
「準耐火建築物等にする前提で、間取りと仕様を組んでみますね」
準耐火にするかどうか、どう決める?
緩和を使うかどうかは、広さと建物の仕様のバランスで決めることになります。指定60%の土地で考えると、違いはこんなイメージです。
| 比べる点 | 準耐火建築物等にする | しない |
|---|---|---|
| 建ぺい率 | 70% | 60% |
| 1階の広さ | 10%分広く取れる | 指定どおり |
| 仕様の決め方 | 火に強い造りの条件に合わせる | 地域の防火の決まりの範囲で決める |
| 相談したいこと | 費用や間取りへの影響 | 広さが足りるかどうか |
『10%広いなら、とりあえず準耐火で』と決める前に、両方の案で間取りを見比べてみると納得しやすいですよ。
敷地が準防火地域の境目にまたがる時
53条8項では、準防火地域とそれ以外の地域にまたがる敷地について決めています。敷地内の建物が全部、耐火建築物等か準耐火建築物等なら、敷地全体を準防火地域内とみなします。
例えば、敷地の一部だけが準防火地域に入っている土地でも、建物を全部準耐火建築物等にすれば、敷地全体で準防火地域の緩和を考えられます。境目にかかる土地は、都市計画図で線の位置をよく見ておきましょう。
『準防火地域だから、建ぺい率は自動で10%上がる』と考えてしまうことがあります。緩和が乗るのは、耐火建築物等か準耐火建築物等を建てた時だけです。土地の資料の数値に、そのまま10%を足さないようにしましょう。
防火地域での扱いの違いは、防火地域の建ぺい率緩和で比べています。
指定80%の準防火地域なら90%、角地で100%
準防火地域の緩和には、指定80%の地域を除く決まりがありません。80%の地域で耐火建築物等・準耐火建築物等を建てれば90%、角地の緩和も乗れば100%になります。
防火地域の緩和は、指定80%の地域では使わず、代わりに制限なしの決まりがかかります。一方、準防火地域の緩和には、こうした80%の地域の除外がないんです。
| 指定建ぺい率 | 準耐火建築物等など | 角地の緩和も乗る場合 |
|---|---|---|
| 50% | 60% | 70% |
| 60% | 70% | 80% |
| 80% | 90% | 100% |

例えば敷地100㎡、指定80%の準防火地域なら、準耐火建築物等で100㎡×0.9=90㎡まで建てられます。角地の指定にも当たれば、100㎡×1.0=100㎡が上限です。
『100%なら敷地いっぱいに建てられるの?』と思いますよね。建ぺい率の上では敷地全体まで届きますが、容積率や高さなどほかの決まりは別にかかります。
指定80%が選べる用途地域
準防火地域で90%や100%が出てくるのは、指定建ぺい率80%の土地です。80%を選べる用途地域は、法律で決まっています。
| 用途地域 | 選べる指定建ぺい率 | 準防火地域で準耐火建築物等なら |
|---|---|---|
| 第一種・第二種住居、準住居、準工業 | 50・60・80% | 60・70・90% |
| 近隣商業 | 60・80% | 70・90% |
| 商業 | 80% | 90% |
住宅地でも、第一種住居地域などで80%に決められている所では90%まで届きます。大阪市のように、住居系の地域の指定建ぺい率を80%に変えた自治体もあるので、土地の資料で数値を確かめておきましょう。
角地の条件は自治体ごとに違うので、角地の建ぺい率緩和もあわせて見てみてください。
よくある相談:準防火地域の建ぺい率で迷うところ
準防火地域の建ぺい率でよく読まれている相談は「80%の地域で耐火なら90%?」「角地と重なると100%?」「防火地域の準耐火には緩和がない?」の3つです。
知恵袋などでよく見かける相談を、要約して答えてみます。
指定80%の準防火地域に耐火建築物を建てたら90%?
「商業地域など指定80%で準防火地域の場所に耐火建築物を建てたら、+10%で90%になるか」という相談は、とてもよく読まれています。
はい、90%になります。準防火地域の緩和は80%の地域を除いていないので、そのまま10%が乗ります。
80%の近隣商業地域で角地・準防火・準耐火なら100%?
「指定80%の近隣商業地域で、特定行政庁が認める角地かつ準防火地域。準耐火建築物等なら建ぺい率は100%になるか」という相談です。
条文どおりに計算すると、80%に防火の10%と角地の10%が乗って100%です。角地の指定に当たるかどうかは、その自治体の基準で確かめておきましょう。
防火地域の準耐火建築物には緩和がない?
「防火地域内の準耐火建築物に、建ぺい率の緩和はあるか」という相談もあります。
防火地域で緩和の対象になるのは耐火建築物等だけで、準耐火建築物等は対象外です。準耐火建築物等で緩和が使えるのは準防火地域だけ、と覚えておくと迷いません。
| 相談 | 答え |
|---|---|
| 80%の準防火地域で耐火なら? | 90%になる |
| 80%・角地・準防火・準耐火なら? | 100%になる |
| 防火地域で準耐火なら? | 緩和なし |
準防火地域の土地では、建物の造りを決めることで建てられる広さが変わりますよね。最後は土地のある自治体の建築指導課や、設計を頼む建築士・住宅会社に確かめておけば安心です。
準耐火建築物等で建てた時にどんな間取りになるか、住宅会社に具体的なプランで出してもらって比べる方法もあります。
タウンライフ家づくり(PR)
建ぺい率に合う間取りプランを、住宅会社に出してもらう
タウンライフ家づくりは、希望の条件を入力すると、住宅会社から間取りプラン・資金計画・土地探しの提案をまとめて無料で受け取れるサービスです。建ぺい率が気になる土地でどんな家が建つか、具体的なプランで比べられます。
無料タウンライフ家づくりを見る提案内容は会社ごとに異なります。サービスの詳細は公式サイトでご確認ください。
よくある質問
準防火地域で建ぺい率の緩和を受ける条件は何ですか?
準防火地域内に、耐火建築物等か準耐火建築物等を建てることです。条件に合えば、指定建ぺい率に10%が上乗せされます。
準防火地域の建ぺい率緩和はいつからですか?
平成30年に公布された改正建築基準法で加わり、令和元年(2019年)6月25日に全面施行されました。
準防火地域で耐火建築物を建てると、建ぺい率80%の地域は何%になりますか?
90%になります。準防火地域の緩和は、指定80%の地域でも使えます。角地の緩和も乗れば100%です。
準防火地域の角地なら、建ぺい率は何%上がりますか?
角地の指定に当たれば10%、準耐火建築物等などの条件もそろえば合わせて20%上がります。角地の基準は自治体ごとに違うので、土地のある自治体で確かめてみてください。
木造住宅でも準防火地域の緩和は使えますか?
条文の条件は材料ではなく、準耐火建築物等に当たるかどうかです。木造の家をその条件に合う設計にできるかは、住宅会社や建築士に確かめてみてください。
まとめ
- 準防火地域では、耐火建築物等か準耐火建築物等なら建ぺい率が10%上がる
- この緩和は2019年6月25日に全面施行された改正で加わった
- 指定80%の地域でも使え、90%になる。角地も乗れば100%
- 木造でも準耐火建築物等に当たるかどうかで決まる
- 防火地域の準耐火建築物等には緩和がない





コメント