アパート経営と建ぺい率|建てられる戸数の考え方と事前の確認

アパート経営と建ぺい率を紹介する記事のアイキャッチ。2階建てアパートと敷地図、建物の模型

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親から受け継いだ土地にアパートを建てたら、何部屋くらいつくれるのか。建ぺい率や容積率の数字を見ても、戸数までは想像しにくいですよね。

結論から言うと、アパートの建ぺい率は住宅と同じルールで、1階の広さの上限を決める数字です。戸数は、建ぺい率・容積率・駐車場や駐輪場の空地の3つから逆算すると見えてきます。この記事を読むと、自分の土地で何戸くらいのアパートになりそうかを、手順に沿って計算できるようになります。

目次

アパートの建ぺい率は住宅と同じルール

先に結論

アパートでも一戸建てでも、建ぺい率は「建築面積÷敷地面積」で計算します。上限の数字は、土地の用途地域ごとに都市計画で決まっています。

『アパートは事業用だから、別の基準があるのでは?』と思う方もいるはずです。実は、建築基準法53条1項は、建物の種類で建ぺい率の数字を分けていないんです。

建築面積は、建物を真上から見た時の広さのことです。敷地面積は土地の広さで、道路の後退(セットバック)が必要な部分は入りません。

アパートを建てられない地域もある

建ぺい率の前に確かめたいのが、用途地域です。用途地域は、住宅地・商業地・工業地など、土地の使い方を13種類に分けたものです。

建築基準法の別表第二では、第一種低層住居専用地域でも共同住宅は建てられるとしています。一方、工業専用地域では住宅も共同住宅も建てられません。

用途地域の例建ぺい率の選択肢容積率の選択肢アパートで気にしたいこと
第一種・第二種低層住居専用地域30・40・50・60%50〜200%高さが10mか12mまで
第一種・第二種中高層住居専用地域30・40・50・60%100〜500%道路幅で容積率が下がる
第一種・第二種住居地域、準住居地域50・60・80%100〜500%道路幅で容積率が下がる
準工業地域50・60・80%100〜500%周りに工場などが建つこともある
工業専用地域30・40・50・60%100〜400%共同住宅は建てられない

この中から、自治体が都市計画で1つを選んでいます。土地の数字の調べ方は建ぺい率の調べ方で紹介しています。

市街化調整区域の土地ならまず許可から

土地が市街化調整区域にある場合は、話の順番が変わります。調整区域は都市計画法で「市街化を抑制すべき区域」とされ、建物を建てるには都市計画法の許可が要る場面が多いんです。

アパートを建てたいと思っても、許可の基準に当てはまらなければ計画は進みません。この場合は、建ぺい率の計算より先に自治体の開発許可の窓口へ聞いてみてください。くわしくは市街化調整区域の土地活用で紹介しています。

同じ敷地の建物は合計する

同じ敷地に建物が2つ以上ある時は、建築面積を合計して建ぺい率を計算します(53条1項)。アパートの横に屋根付きの駐輪場や物置を置くと、その分も足し算に入るんです。

アパートの規模を3つから逆算する手順

ここでの結論

アパートの規模は「建ぺい率で1階の広さ」「容積率で延べ床」「駐車場・駐輪場に残す空地」の3つで決まります。この順に計算すると、戸数の目安まで出せます。

ここがこの記事でいちばん大事なところです。数字を1つずつ見るより、3つを順番に当てはめていく方が、建物の姿が浮かびやすくなります。

アパートの規模を、建ぺい率で1階の広さ、容積率で延べ床、駐車場と駐輪場の空地の3つから逆算する手順を示した図解
アパートの戸数を逆算する手順
  1. 建ぺい率から1階の広さの上限を出す
  2. 容積率から延べ床の上限を出す
  3. 駐車場・駐輪場に残す空地を決める
  4. 1フロアの広さと階数を決める
  5. 共用の廊下や階段を引いて、1戸の広さで割る

例えば敷地200㎡・建ぺい率60%・容積率200%なら

第一種住居地域で、前面道路が6mの土地を例に計算してみます。数字は説明用です。

  • 1階の広さの上限:200㎡×0.6=120㎡
  • 延べ床の上限:200㎡×2=400㎡
  • 残る空地:200㎡から120㎡を引いて80㎡

前面道路6mなら、6×0.4=2.4で240%です。都市計画の200%より大きいので、ここでは200%がそのまま使えます。道路の話は次の章でくわしく見ていきます。

駐車場と駐輪場の分を先に決める

『建ぺい率いっぱいに建てれば、部屋が一番多くなるのでは?』と考えたくなりますよね。ただ、アパートでは駐車場や駐輪場の場所も要ります。

屋根のない駐車場は、建物ではないので建ぺい率に入らないと考えられます。一方で、屋根付きの駐輪場は建築物なので、建築面積に入ります。

例えば、屋根付きの駐輪場で計算に入る面積が10㎡なら、アパート本体の1階は110㎡までです。合わせて120㎡で、ちょうど60%に収まります。

空地の使い道(例)建ぺい率への影響確かめたいこと
屋根のない駐車場入らないと考えられる車の出入りの通路の幅
屋根付きの駐輪場入る(緩和あり)開放的な構造か
物置・ごみ置き場の小屋屋根と壁があれば入る建築物に当たるか
植え込み・通路入らない日当たりや避難の通り道

空地80㎡のうち、駐輪場の屋根の下が15㎡だとすると、残りは65㎡です。車1台分を例えば幅2.5m・奥行5mの12.5㎡とすれば、通路を考えずに5台分になります。

実際は車の出入りの通路や、玄関までの歩く道も要ります。2〜3台分くらいで見ておくと、計画のずれが少なくなりますよ。

屋根付きの駐輪場には、開放的な構造なら端から1mの部分を建築面積に入れない緩和があります。くわしくはサイクルポートは建ぺい率に入る?で紹介しています。

戸数の目安を出してみる

アパート本体の1階を110㎡にしたとします。外廊下や階段に1フロア15㎡ほど使うとすると、部屋に使えるのは95㎡です。

1戸25㎡のワンルームなら、95㎡÷25㎡で3戸が目安です。階数ごとの延べ床と戸数を並べると、こうなります。

階数延べ床(例)容積率400㎡以内か戸数の目安
2階建て220㎡収まる6戸
3階建て330㎡収まる9戸
4階建て440㎡超える計算上は無理

この例では、3階建てまでなら容積率に収まります。ただ、高さの制限や構造、建築費によっては2階建ての方が合うこともあるんです。

反対に、1戸を広めの30㎡にすると、95㎡÷30㎡で1フロア3戸のままです。1戸40㎡なら2戸になります。部屋の広さを決めるのは、周りでどんな部屋が求められているかを調べてからにしておきましょう。

外廊下は延べ床に入らないこともある

床面積の算定方法を示した通達では、外気に十分開かれた吹きさらしの廊下は、幅2mまでの部分を床面積に入れないとしています。容積率の計算では、外廊下の分が軽くなることがあります。

容積率と道路・高さで戸数が変わる

ここでの結論

前面道路が狭いと、容積率が都市計画の数字より下がります。低層住居専用地域では高さが10mか12mまでなので、3階建てが難しいこともあります。

『容積率200%と書いてあるから、200%で計算すればいい』と思いがちですよね。ただ、アパートの戸数はここで大きく変わることがあります。

前面道路が4mなら容積率は160%

建築基準法52条2項では、前面道路の幅が12m未満なら、道路の幅(m)に決まった数字を掛けた容積率も上限になるとしています。住居系の地域では0.4が原則です。

前面道路の幅から出す容積率と都市計画の容積率を比べ、小さい方が上限になることを、4mの道路で160%になる例で示した図解

例えば先ほどの敷地200㎡で、前面道路が4mだったとします。

  • 道路の幅から出す数字:4×0.4=1.6(160%)
  • 都市計画の数字:200%
  • 小さい方の160%が上限で、延べ床は320㎡まで

先ほどの表では3階建て330㎡で9戸でしたが、320㎡を超えてしまいます。3階の一部を削るか、1フロアを少し小さくする計画が要るわけです。

特定行政庁が指定した区域では、掛ける数字が0.6になる地域もあります。特定行政庁は、建築のルールを運用している自治体のことです。

道路の後退があると敷地面積が減る

幅4m未満の古い道に面した土地では、道の中心線から2mの線まで下がる必要があることがあります(42条2項)。下がった部分は、建ぺい率を計算する敷地面積に入りません。

例えば幅3mの道なら、自分の側は0.5m下がります。間口10mの土地なら5㎡が敷地から外れ、200㎡の土地は195㎡で計算します。1階の上限は195㎡×0.6で117㎡になり、駐輪場の分を引くと戸数に響くこともあるんです。

高さと斜線の制限

第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域では、建物の高さが10mか12mまでに決められています(55条1項)。

ほかにも56条の道路斜線・隣地斜線・北側斜線があります。道路や隣の土地の側で、建物の上の方を斜めに削るような制限です。

よくある失敗

建ぺい率と容積率だけで戸数を出して、斜線の制限で上の階が削られることに後から気づくことです。計算の段階で、設計者に高さの制限も見てもらっておきましょう。

角地や防火の緩和で1階が広がることも

建ぺい率は、条件しだいで10%ずつ上がります(53条3項)。

条件建ぺい率の変わり方敷地200㎡・60%の例
特定行政庁が指定した角地10%上がる1階140㎡まで
準防火地域で耐火建築物等か準耐火建築物等10%上がる1階140㎡まで
防火地域で耐火建築物等(80%の地域を除く)10%上がる1階140㎡まで
角地と防火の両方20%上がる1階160㎡まで

角地の条件は自治体ごとに違います。くわしくは建ぺい率の緩和を見てみてください。

よくある相談:この土地にアパートは何部屋?

ここでの結論

Q&Aサイトでよく読まれているのは「何階建てまで建つか」「各フロアに何部屋つくれるか」という相談です。床の量の上限までは、自分の手で計算できます。

建ぺい率と容積率の相談から、アパートの計画に関わるものを3つ要約して答えてみます。

建ぺい率60%・容積率200%なら何階建てまで?

建ぺい率60%・容積率200%の土地で、何階建てまで建てられるかを聞く相談です。とてもよく読まれている質問なんです。

建ぺい率いっぱいの60%で各階を建てると、200÷60で3.3フロア分の床が入ります。つまり3階建てと、4階の一部くらいの量です。

ただ、これは床の量だけの話です。道路の幅で容積率が下がる場合や、高さ・斜線の制限で、実際にはもっと低くなることもあります。

202㎡の土地で、ワンルームは各フロア何部屋?

建ぺい率60%・容積率300%の202㎡の土地で、ワンルームを何部屋つくれるかという相談です。1フロアの上限は202㎡×0.6で121.2㎡、延べ床は606㎡までです。

廊下や階段に1フロア20㎡ほど使うとすると、部屋に使えるのは約101㎡です。1戸25㎡なら4戸が目安で、606㎡÷121.2㎡で5フロア分あります。

計算の上では20戸くらいのイメージですが、5階建てにできるかは高さの制限や構造しだいです。設計者に確かめながら詰めていきましょう。

建ぺい率80%・容積率300%なら3階建てが限度?

建ぺい率と同じ広さで各階を建てる場合、3階建てが限度ですよね、という確認の相談です。

300÷80で3.75なので、各階を80%いっぱいで建てると3階分に、4階の一部が乗るくらいです。各階を少し小さくすれば、4階建ても計算の上では入ります。

数字の組み合わせ各階いっぱいで入る階数考え方
60%・200%3階と4階の一部細くすれば階数が増える
60%・300%5階高さの制限を先に確かめる
80%・300%3階と4階の一部各階を小さくして4階も

同じ建ぺい率60%・容積率200%でも、土地の広さで規模はこう変わります。共用部分は1フロア15㎡、1戸25㎡、建ぺい率いっぱいで2階建てにした例です。

敷地の広さ(例)1階の上限2階建ての延べ床戸数の目安
100㎡60㎡120㎡2戸
200㎡120㎡240㎡8戸
300㎡180㎡360㎡12戸

100㎡の土地では1フロア1戸しか取れず、アパートとしては小さくなります。広い土地での計算は70坪・80坪・100坪の土地の建ぺい率でも紹介しています。

建てる前に確かめておきたいこと

ここでの結論

アパート経営では、建ぺい率の計算に加えて、契約や家賃の話も先に確かめておくと安心です。特にサブリース契約は、国も注意を呼びかけています。

『数字が分かったから、あとは建てるだけ』と進めたくなりますよね。ただ、アパートは建てた後の経営が長く続きます。

国土交通省は平成30年10月26日、金融庁・消費者庁と連携して、サブリース契約を考えている人に注意を呼びかけました。リスクを自分で十分に理解すること、家賃の減額をめぐるトラブルがあることなどが挙げられています。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律では、サブリース業者などに対して、誇大な広告や不当な勧誘を禁じています(28条・29条)。契約の前には、書面を渡して説明することも決められています(30条)。

アパートを建てる前のチェックリスト
  • 用途地域で共同住宅が建てられるかを確かめる
  • 建ぺい率・容積率と前面道路の幅を確かめる
  • 高さや斜線の制限がかかるかを設計者に聞く
  • 駐車場・駐輪場に残す空地の広さを決める
  • サブリースの契約書と説明の書面をよく読む
  • 家賃が下がった時の収支も聞いておく

例えば、提案を受けた時はこんなふうに聞いてみると、話の中身が見えやすくなります。

「この戸数の計算は、前面道路の幅で下がる容積率も入っていますか?」
「はい、道路の幅で計算した上限で組んでいます。斜線の制限で削った形もお見せしますね」

建ぺい率の基本は建ぺい率とは?で、ほかの活用方法との比べ方は土地活用と建ぺい率で紹介しています。

アパートの計画は、複数の活用プランで比べる

ここでの結論

同じ土地でも、会社によって戸数や間取り、収支の見込みは変わります。一社の案だけで決めず、いくつかの案を並べて比べてみるのが安心です。

『アパートがいいのか、マンションや駐車場の方がいいのか分からない』という方も多いですよね。規模の大きい建物の考え方はマンションの建ぺい率、建物を建てない使い方は駐車場経営と建ぺい率で紹介しています。

土地の持ち主が、複数の会社から届いたアパートの活用プランを机に並べて見比べている手元の写真

活用案を集める方法の1つに、タウンライフ土地活用があります。土地を持っている人か、相続などで持つ予定の人が、複数の会社から活用プランを無料で受け取れるサービスです。

届くのは、収支シミュレーション・土地の需要調査書・工法別の活用事例の3つです。アパートのほか、マンションや駐車場も対象として案内されています。

提案を断ってもよく、断りにくければ代わりに断ってもらうこともできると案内されています。自分で計算した戸数と、各社の案を見比べてみてください。

タウンライフ土地活用(PR)

この土地で何ができるか、活用プランで比べてみる

タウンライフ土地活用は、土地を持っている人(相続などで持つ予定の人を含む)が、複数の企業から収支シミュレーションや活用プランを無料で受け取れるサービスです。建ぺい率や用途地域に合う活用方法を比べる手がかりになります。

無料タウンライフ土地活用を見る

サービスの内容は公式サイトでご確認ください。

もちろん、役所の建築の窓口で数字を確かめたり、地元の建築士に相談したりするのも自然な選び方です。最後は、土地のある自治体や設計を頼む建築士に確かめておくと安心です。

よくある質問

アパートの建ぺい率は一戸建てと違いますか?

違いません。建ぺい率は建物の種類ではなく、土地の用途地域ごとに都市計画で決まります。

第一種低層住居専用地域にアパートは建てられますか?

共同住宅は建てられる地域です。ただし高さが10mか12mまでに決められているので、低めの建物になります。

アパートの駐輪場は建ぺい率に入りますか?

屋根と柱のある駐輪場は建築物なので、建築面積に入ります。開放的な構造なら、端から1mの部分を入れなくてよい緩和があります。

建ぺい率いっぱいに建てた方がいいですか?

戸数だけを見ると多くなりやすいですが、駐車場や駐輪場、ごみ置き場の場所が足りなくなることがあります。空地の使い道とあわせて決めるのがおすすめです。

建ぺい率に余りがあれば、後から部屋を増築できますか?

建ぺい率と容積率に収まる範囲なら考えられますが、確認申請が要る場合があります。防火地域・準防火地域では10㎡以内の増築でも申請が要るので、設計者に相談してみてください。

まとめ

この記事の要点
  • アパートの建ぺい率は住宅と同じく、用途地域ごとに決まる
  • 建ぺい率で1階、容積率で延べ床、空地で駐車場と駐輪場を考える
  • 前面道路が狭いと容積率が下がり、戸数が減ることがある
  • 高さや斜線の制限、角地や防火の緩和も戸数に効く
  • サブリースの注意も読み、複数の活用案で比べてみる
建ぺい率ドットコム

建ぺい率ドットコム 編集部

建ぺい率の意味と計算、用途地域ごとの数値、角地や防火地域の緩和、カーポートやバルコニーの扱い、調べ方までを、家づくりや土地探しの前に分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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