建ぺい率はなぜある?決められている目的と暮らしへの効き方

建ぺい率がなぜあるのかを紹介する記事のアイキャッチ。家どうしの間に庭や通路が残る住宅街

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土地を見に行ったら「建ぺい率50%」と言われて、半分しか建てられないなんて、と感じた。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、建ぺい率がなぜあるのかというと、敷地の中に空いた場所を残して、日当たりや風通し、火事の時の安全を守るためです。自分の家だけでなく、まわりの家の暮らしも守るための決まりなんです。

この記事では、建ぺい率の目的を4つに分けて、暮らしにどう効いているかをお伝えしますね。

目次

建ぺい率はなぜある?目的をひと言でいうと

先に結論

建ぺい率の目的は、敷地内に一定の空き地を残し、建物が建て詰まるのを防ぐことです。国土交通省は、採光・通風などを確保し、良い市街地の環境を守るためと説明しています。

建ぺい率(建蔽率)とは、土地の広さのうち、建物で覆ってよい割合のことです。建築基準法の第53条で決められています。

国土交通省の資料では、建ぺい率の制限について次のように説明されています。

敷地内に一定の空地を確保し、いわゆる建て詰まりを防止し、建築物の採光、通風等を確保するとともに、良好な市街地環境の確保を図ろうとするもの。

出典:国土交通省 住宅局市街地建築課「建築基準法(集団規定)」

『空地って、空き地のこと?』と思いますよね。ここでは、敷地の中で建物が建っていない部分のことです。庭や通路、駐車スペースもこれに入ります。

建築基準法そのものの目的

建ぺい率は、建築基準法という法律の一部です。この法律の第1条には、建物の最低限の基準を決めて、国民の生命・健康・財産を守ることが目的だと書かれています。

つまり建ぺい率も、住む人とまわりの人の安全や健康を守るための決まりの1つなんです。家を広く建てたい気持ちと、まわりとの暮らしやすさのバランスを取るためのものだと考えると分かりやすいですよ。

建物の大きさを決める道具の1つ

国土交通省の資料によると、昭和38年より前は、建物の大きさを主に「高さの制限」と「建ぺい率の制限」で決めていたそうです。その後、容積率や斜線制限なども加わって、街の環境を守る仕組みが増えてきました。

つまり建ぺい率は、昔から使われてきた、建物の広がりを決める基本の道具なんです。今は容積率と組み合わせて、横への広がりと縦への積み上げの両方を見ています。

建ぺい率そのものの意味と計算は、建ぺい率とは?意味と計算方法でまとめています。

建ぺい率の4つの目的と、空き地の使われ方

ここでの結論

建ぺい率で残る空き地には、大きく分けて4つの役目があります。日当たり・風通し、燃え広がりにくさ、暮らしの空間、街並みの4つです。

国や自治体の説明を読み比べると、建ぺい率が何のためにあるのかは、いくつかの言葉で書かれています。ここでは、それを暮らしの目線で4つにまとめてみました。

目的国や自治体の説明に出てくる言葉暮らしの中では
日当たり・風通し採光、通風、日照部屋が明るく、風が抜ける
燃え広がりにくさ延焼の防止、防火、防災、安全隣の火事がうつりにくい
暮らしの空間緑化、日常生活のための空間庭や通路、駐車スペースが取れる
街並み良好な市街地環境、地域環境の保全家が詰まりすぎない街になる
建ぺい率で敷地に残る空き地が、日当たり・風通し、燃え広がりにくさ、暮らしの空間、街並みの4つの役目に使われることを示した図解

1. 日当たり・風通し

家と家がぴったりくっついて建つと、窓からの光や風が入りにくくなりますよね。建ぺい率で空き地を残すと、建物のまわりにすき間ができます。

このすき間が、部屋に光を入れ、風を通す道になるんです。自分の家だけでなく、となりの家の日当たりを守ることにもつながっています。

2. 燃え広がりにくさ

呉市の説明では、空き地を確保することで、騒音や延焼の防止、日照・採光・通風などの面で地域の環境を守っている、とされています。延焼とは、火事が隣の建物に燃え移ることです。

建物どうしの間に空き地があると、火が燃え移りにくくなります。岐阜市も、空き地を確保することで、安全・防火・衛生の面の環境を満たすことが目的だと説明しています。

3. 暮らしの空間

大阪市の手引きでは、通風・日照・採光・防災に加えて、緑化や日常生活のための空間を確保することが挙げられています。

庭で洗濯物を干したり、自転車を置いたり、木を植えたりする場所も、この空き地があってこそなんです。

4. 街並み

一軒一軒が空き地を残すと、街全体として家が詰まりすぎない状態になります。国土交通省の説明にある「良好な市街地環境」は、こうした街全体の住みやすさのことです。

「避難」も目的なの?

建ぺい率の目的として「避難のため」と書かれた解説を見かけることがあります。ただ、国や自治体の資料で確かめられたのは「防災」「延焼の防止」「安全」までなので、この記事ではその範囲でお伝えしています。

なぜ土地によって建ぺい率が違うの?50%の理由

ここでの結論

建ぺい率の数値は、法律が用途地域ごとに用意した選択肢の中から、自治体が都市計画で選んでいます。50%の土地は、その地域でゆとりを残す街づくりをしているということです。

『となりの地区は60%なのに、なぜうちは50%なの?』と不思議に思いますよね。実は、数値は土地ごとに勝手に決まっているわけではないんです。

街は、住宅地・商店街・工場街など13種類の「用途地域」に分けられています。法律は、用途地域ごとに選べる建ぺい率の数値を並べていて、自治体がその中から選んでいます。

用途地域のグループ選べる建ぺい率街のイメージ
低層住居専用地域・中高層住居専用地域・田園住居地域・工業専用地域30・40・50・60%静かな住宅地など(工業専用地域も同じ選択肢)
住居地域・準住居地域・準工業地域50・60・80%住宅とお店などが混ざる街
近隣商業地域60・80%近所の商店街
商業地域80%駅前や繁華街
工業地域50・60%工場が集まる地域

低層住居専用地域などでは、30〜60%の中から選ばれます。ここで50%が選ばれているなら、その地域は庭や家どうしのすき間を広めに残す街づくりをしている、と読めます。

建ぺい率50%なら、どのくらい建てられる?

例えば100㎡の土地で建ぺい率50%なら、真上から見た建物の広さは50㎡までです。坪でいうと、1坪は約3.3㎡なので、40坪の土地なら20坪までとなります。

半分しか建てられない、と感じるかもしれません。ただ、2階建てにすれば床の広さは増やせますし、残りの半分は庭や駐車場として使えます。

数値が誰によってどう決まるのかは、建ぺい率は誰が決める?でくわしく紹介しています。

建ぺい率の目的でよくある相談

ここでの結論

相談で多いのは「なぜ商業地域だけ扱いが違うのか」「なぜ防火地域で緩和されるのか」「なぜ田舎の住宅地は数値が低いのか」の3つです。

Q&Aサイトでよく読まれている相談を、要約して答えてみます。なぜ、という疑問は、仕組みが分かるとすっきりするものが多いんです。

なぜ商業地域だけ、都市計画で建ぺい率を定めないの?

「都市計画で、なぜ商業地域だけ建ぺい率を定めなくてよいのか」という相談は、とてもよく読まれています。宅建の勉強をしている方が引っかかりやすい所です。

理由は、商業地域の建ぺい率は、建築基準法で80%と1つに決まっているからです。ほかの地域は選択肢の中から都市計画で選ぶ必要がありますが、商業地域は選ぶ余地がないので、都市計画で定める対象に挙がっていないんです。

なぜ防火地域だと建ぺい率が緩和されるの?

「防火地域の中の建物は、なぜ建ぺい率が緩和されることがあるのか」という相談もあります。

国土交通省は、平成30年の法改正の説明で、延焼を防ぐ性能が高い建物について建ぺい率を10%緩和する、としています。燃え広がりにくい建物なら、空き地が少し減っても安全を保ちやすい、という考え方です。

防火の緩和の条件
  • 防火地域では、耐火建築物など(またはそれと同じくらい燃えにくい建物)が対象
  • 準防火地域では、耐火建築物などに加えて、準耐火建築物なども対象
  • 指定80%の地域の防火地域内の耐火建築物などは、制限そのものがかからない

『防火地域なのに、準耐火建築物では緩和されないの?』という相談もよく読まれています。法律の条文では、防火地域で対象になるのは耐火建築物などに限られている、というのが答えです。

なぜ田舎の住宅地は40%・80%が多いの?

「田舎の住宅地で、建ぺい率40%・容積率80%が多いのはなぜか」という相談もありました。

この組み合わせは、低層住居専用地域などで選べる数値の中に入っています。どの値を選ぶかは自治体の都市計画で決まるので、その地域をゆとりのある住宅地にしたいという考えが反映されていると考えられます。

ただ、地域ごとの理由までは、都市計画の資料を見ないと分かりません。気になる時は、自治体の都市計画の窓口に聞いてみてください。

目的を知ると、建ぺい率とどう付き合えばいい?

ここでの結論

建ぺい率の目的が分かると、残る空き地を「損」ではなく、光と風と安全のための場所として使う考え方ができます。間取りを考える時に、空き地の使い方まで一緒に決めるのがおすすめです。

建ぺい率のせいで家が狭くなる、と考えると、どうしても不満が残りますよね。ここが大事なところですが、残る空き地は、あなたの家の住み心地にも効いているんです。

例えば、家族でこんな話になることもあります。

「建ぺい率いっぱいまで建てて、部屋を広くしようよ」
「でも、南側を空けておけば、リビングが明るくなるし、洗濯物も干せるよね」

空き地を生かす考え方
  1. 指定の建ぺい率から、建てられる建築面積を計算する
  2. 日当たりのよい方角に、空き地を寄せられないか考える
  3. 駐車場・自転車置き場・庭など、空き地の使い道を決める
  4. 足りない床の広さは、2階の使い方で補えないか考える

目的を知ったうえで、やってはいけないこともあります。建築確認の後に届け出ずに部屋を足すなど、建ぺい率を超えてしまう使い方は、あとで困る原因になります。

やってはいけないこと

空き地を残して確認を受けた後に、届け出ずに屋根付きの部屋やサンルームを足すことです。建ぺい率を超えると、建築基準法に合わない建物になってしまいます。

制度がどうやって今の形になったかは、建ぺい率の歴史で紹介しています。

住宅街で、家どうしの間に庭や通路の空き地が残り、日差しが入っている様子の写真

空き地の使い方まで含めて間取りを考えるのは、自分だけだと難しいこともあります。土地に合わせた間取りプランを住宅会社に出してもらう方法もあります。

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建ぺい率に合う間取りプランを、住宅会社に出してもらう

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よくある質問

建ぺい率は何のためにあるのですか?

敷地の中に空き地を残して、建物が建て詰まるのを防ぐためです。日当たりや風通し、火事の時の燃え広がりにくさ、良い街の環境を守ることが目的です。

建ぺい率はなぜ必要なのですか?

建ぺい率がないと、家どうしがすき間なく建ってしまい、光や風が入りにくく、火事も燃え移りやすくなります。自分とまわりの暮らしを守るために必要な決まりです。

建ぺい率の数値は誰が決めているのですか?

法律が用途地域ごとに用意した選択肢の中から、自治体が都市計画で選んでいます。用途地域の指定のない区域では、特定行政庁が定めています。

建ぺい率が低い土地は損ですか?

建てられる広さは小さくなりますが、そのぶん庭や駐車場の場所が取りやすく、日当たりや風通しのよい環境になりやすいです。暮らし方に合うかで考えてみてください。

角地だと建ぺい率が緩和されるのはなぜですか?

角地は2方向以上が道路などに面していて、まわりに空いた場所がもともと多いからだと考えられます。角地として認められる条件は自治体ごとに違うので、土地のある自治体に確かめてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 建ぺい率は、敷地に空き地を残して建て詰まりを防ぐための決まり
  • 目的は日当たり・風通し、燃え広がりにくさ、暮らしの空間、街並みの4つ
  • 数値は用途地域ごとの選択肢から、自治体が都市計画で選んでいる
  • 商業地域は80%に決まっているので、都市計画で選ぶ必要がない
  • 燃えにくい建物には、防火地域などで緩和がある
建ぺい率ドットコム

建ぺい率ドットコム 編集部

建ぺい率の意味と計算、用途地域ごとの数値、角地や防火地域の緩和、カーポートやバルコニーの扱い、調べ方までを、家づくりや土地探しの前に分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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