建ぺい率が異なる地域にまたがる敷地の計算|加重平均・按分の方法

建ぺい率が異なる地域にまたがる敷地の計算を紹介する記事のアイキャッチ。2色に塗り分けた敷地図と電卓

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気になる土地の資料に、建ぺい率が「60%・80%」と2つ書いてあって、『どっちで計算すればいいの?』と迷っていませんか。土地が2つの地域にまたがっていると、急にややこしく見えますよね。

結論から言うと、建ぺい率がまたがる敷地は、それぞれの地域の面積の割合で按分して合計します。いわゆる加重平均の計算で、手順にすると3ステップで終わるんです。

この記事を読めば、2つの地域にまたがる敷地の建ぺい率と、建てられる建築面積を自分で出せるようになりますよ。

目次

建ぺい率がまたがる場合は面積で按分する

先に結論

敷地が建ぺい率の違う2つの地域にまたがっている時は、「各地域の建ぺい率×その地域の面積の割合」を足したものが、敷地全体の建ぺい率の上限になります(建築基準法53条2項)。

建ぺい率(建蔽率)は、建築面積を敷地面積で割った割合です。建築面積は、建物を真上から見た時の外壁や柱の中心線で囲まれた広さのことを言います。

敷地が用途地域の境目にあると、1つの敷地の中に建ぺい率の違う部分ができます。用途地域は、住宅地・商業地などの使い方に合わせて都市計画で決める地域のことで、地域ごとに建ぺい率が選ばれています。

建ぺい率の加重平均とは?

建ぺい率の加重平均とは、面積の大きさに応じて重みをつけた平均のことです。広い方の地域の建ぺい率ほど、全体の数字に強く効きます。

『60%と80%なら、真ん中の70%でいいんじゃないの?』と思いますよね。でも、それは2つの面積がちょうど同じ時だけなんです。

計算の仕方中身使えるか
単純な平均2つの建ぺい率を足して2で割る面積が同じ時だけ結果が合う
加重平均(按分計算)面積の割合をかけてから足す使う(53条2項の考え方)
広い方に合わせる敷地の半分を超える地域の数字を使う建ぺい率では使わない

建ぺい率の計算全体の流れは建ぺい率の計算方法で紹介しています。

「広い方に合わせる」のは用途制限の話

用途地域がまたがる時、「敷地の半分を超える方の地域のルールを全体に使う」という話を聞いたことがある方もいるはずです。これは建築基準法91条の決まりで、建てられる建物の種類(用途制限)などに使われます。

ただ、91条は建ぺい率(53条)と容積率(52条)を対象から外しています。だから建ぺい率は、半分を超える方に合わせるのではなく、面積で按分して計算するんです。

2つの地域にまたがる敷地を3ステップで計算する

ここでの結論

①地域ごとの面積を出す、②それぞれに建ぺい率をかける、③足し合わせる。この3ステップで、建てられる建築面積の上限が出ます。

ここからは例で計算してみます。数字はすべて計算のための例です。

例として、敷地200㎡のうち120㎡が建ぺい率60%の地域、80㎡が建ぺい率80%の地域にまたがっている土地で考えます。

またがる敷地の建ぺい率を出す3ステップ
  1. 地域ごとの面積を出す(120㎡と80㎡)
  2. 面積にそれぞれの建ぺい率をかける(120×0.6=72㎡、80×0.8=64㎡)
  3. 足し合わせる(72+64=136㎡)

これで、建築面積の上限は136㎡と分かりました。敷地全体の建ぺい率にすると、136÷200=68%です。

割合の式で計算しても同じになる

加重平均の式で書くと、0.6×120/200+0.8×80/200=0.36+0.32=0.68で、68%になります。200㎡×68%=136㎡なので、面積で出した答えと同じです。

どちらの出し方でもかまいません。面積で出す方が、計算の途中を見返しやすいのでおすすめです。

不動産会社に確かめる時は、こんなふうに聞いてみると話が早いですよ。

「60%の部分と80%の部分は、それぞれ何㎡ですか?」
「測量図に境目を入れると、120㎡と80㎡ですね」

敷地200㎡のうち120㎡が建ぺい率60%、80㎡が80%の例で、面積ごとに建ぺい率をかけて足し合わせる3ステップを示した図解

3つの地域にまたがる場合も同じ

地域が3つになっても、考え方は変わりません。例えば300㎡の敷地が、150㎡(60%)・100㎡(80%)・50㎡(50%)に分かれているとします。

地域面積建ぺい率建てられる建築面積
1つ目150㎡60%90㎡
2つ目100㎡80%80㎡
3つ目50㎡50%25㎡
合計300㎡65%195㎡

195÷300=0.65なので、敷地全体の建ぺい率は65%です。

建物をどちら側に置くかは計算に関係しない

『建物を80%の地域の方に寄せれば、もっと建てられるの?』という疑問もよく聞きます。53条2項の計算は敷地全体の割合で見るので、建物の置き場所で上限は変わりません。

上限は、あくまで敷地全体で136㎡です。建物を寄せても、その数字が増えることはないんですね。

「80%の側に建物を寄せたら、もう少し大きくできませんか?」
「建ぺい率は敷地全体で見るので、どこに置いても上限は136㎡のままなんです」

よくある失敗
  • 2つの建ぺい率を単純に平均してしまう
  • 敷地の半分を超える方の建ぺい率で全体を計算してしまう
  • 地域の境目の位置を目分量で決めて、面積を出してしまう

防火地域・準防火地域がまたがる場合はどうなる?

ここでの結論

防火地域や準防火地域が敷地の一部だけにかかっている時は、建物全体を耐火建築物等・準耐火建築物等にすると、敷地全体を防火側の地域とみなして緩和を考えられます(53条7項・8項)。

建ぺい率の緩和は、防火地域・準防火地域の中にある耐火建築物等や準耐火建築物等で受けられます。防火地域・準防火地域は、火事が広がりにくい街にするために、建物の燃えにくさを求める地域のことです。

耐火建築物は火事に強い構造の建物、準耐火建築物はそれに次ぐ燃えにくい構造の建物のことを言います。では、その地域が敷地の一部にしかかかっていない時はどうなるのでしょうか。

敷地のまたがり方条件どうみなすか
防火地域と、その外敷地内の建物すべてが耐火建築物等敷地全体を防火地域内とみなす(53条7項)
準防火地域と、防火・準防火地域以外敷地内の建物すべてが耐火建築物等か準耐火建築物等敷地全体を準防火地域内とみなす(53条8項)
上の条件に当てはまらない建物の一部だけが耐火など緩和の扱いは設計者・自治体に確かめる

準防火地域がまたがる例

例えば、敷地200㎡のうち120㎡が建ぺい率60%、80㎡が建ぺい率50%で、120㎡の側だけが準防火地域だったとします。緩和を使わない時の上限は、120×0.6+80×0.5=72+40=112㎡です。

建物すべてを準耐火建築物等にすると、敷地全体が準防火地域とみなされ、どちらの部分も10%上がります。この場合は120×0.7+80×0.6=84+48=132㎡になり、敷地全体では66%です。

防火地域の緩和の条件は防火地域の建ぺい率緩和でくわしく紹介しています。

補足

建ぺい率80%の地域が防火地域で、耐火建築物等を建てる場合は、10%の緩和ではなく建ぺい率の制限がかからない扱いになります(53条6項1号)。またがる敷地でこれが関わる時は、計算の扱いを設計者や自治体に確かめておくと安心です。

角地緩和や容積率も地域ごとに考える

ここでの結論

容積率も、建ぺい率と同じように面積で按分して計算します(52条7項)。角地緩和を使う時は、緩和後の数字を地域ごとに当てはめてから按分すると考えると分かりやすいです。

建ぺい率がまたがる土地では、容積率もまたがっていることが多いですよね。容積率は延べ面積(各階の床面積の合計)を敷地面積で割った割合で、こちらも52条7項で按分の計算になります。

例えば、先ほどの200㎡の土地で、120㎡が容積率200%、80㎡が容積率300%なら、120×2+80×3=240+240=480㎡が延べ面積の上限です。前の道路の幅で容積率が下がることもあるので、その点も確かめておきましょう。

角地緩和がある時の考え方

角地緩和は、自治体が決める条件に当てはまる角地で、建ぺい率が10%上がる決まりです。角地として認められる条件は自治体ごとに違います。

角地緩和が認められた場合、先ほどの200㎡の例なら60%の部分は70%、80%の部分は90%として按分します。120×0.7+80×0.9=84+72=156㎡で、敷地全体では78%です。

角地と認められるかどうかや計算の扱いは、土地のある自治体の建築指導課に確かめるのがいちばん確実です。

またがる土地を見る時のチェック
  • 重要事項説明書に、建ぺい率と容積率が2つずつ書かれていないか
  • 地域の境目の位置と、それぞれの面積が分かるか
  • 防火地域・準防火地域が敷地のどこにかかっているか
  • 角地緩和が使えるか、自治体の基準で確かめたか
またがる敷地で確かめる、地域ごとの面積・防火地域のかかり方・角地緩和・容積率の按分をまとめたチェックの図解

よくある相談:またがる敷地で迷うところ

ここでの結論

Q&Aサイトでよく読まれている相談は、「複数の用途地域にわたる敷地のルール」「防火地域がまたがる時の緩和」「60%と80%にまたがる土地」「試験勉強で出てくる加重平均」の4つでした。

建ぺい率がまたがる土地について、多く読まれている相談を要約して答えてみます。

複数の用途地域にわたる敷地は、何をどう決めるの?

敷地が複数の用途地域にわたる時の、用途の決まりや防火の決まりを知りたい、という相談はとても多く読まれていました。ここが大事なところで、決まりごとに考え方が違うんです。

建てられる建物の種類は、敷地の半分を超える方の地域で決まります。一方、建ぺい率と容積率は面積で按分します。防火の扱いは建物の構造によって変わるので、設計者に確かめておきましょう。

近隣商業(防火地域)と住居系の地域にまたがる時の緩和は?

防火地域の近隣商業地域と、別の住居系の地域にまたがる敷地の緩和についての相談も、よく読まれていました。建物すべてを耐火建築物等にすれば、敷地全体を防火地域とみなして考えられます。

ただ、近隣商業地域の建ぺい率が80%の場合は、10%の緩和ではなく制限がかからない扱いが関わってきます。計算の仕方が複雑になるので、設計者や自治体と一緒に確かめるのが安心です。

第一種低層住居専用地域(60%)と近隣商業地域(80%)にまたがる土地は?

用途地域が2つ書かれていて、建ぺい率が60%と80%の土地を検討している、という相談もありました。このタイプの土地は、建ぺい率と用途で答えが分かれるのがポイントです。

例えば150㎡の敷地のうち、90㎡が第一種低層住居専用地域(60%)、60㎡が近隣商業地域(80%)だとします。建ぺい率は90×0.6+60×0.8=54+48=102㎡で、敷地全体では68%です。

一方、建てられる建物の種類は、敷地の半分を超える第一種低層住居専用地域の決まりで考えます。お店を開きたいといった時は、ここで建てられるかを先に確かめておきましょう。

宅建やFPの勉強で、建ぺい率も加重平均でいいの?

「容積率は按分計算とテキストにあったけれど、建ぺい率も同じ?」という質問もありました。答えは、同じです。

建ぺい率は53条2項、容積率は52条7項で、どちらも面積の割合で按分します。試験での出され方は宅建試験の建ぺい率でまとめています。

またがる土地は、計算だけでなく間取りの考え方も少し難しくなります。この土地でどんな家が建つかを、住宅会社に具体的なプランで出してもらう方法もあります。

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よくある質問

建ぺい率が2つの地域にまたがっている時は、どちらの数字を使いますか?

どちらか片方ではなく、面積の割合で按分して合計します。各地域の面積×建ぺい率を足した数字が、建築面積の上限です。

建ぺい率の加重平均とは何ですか?

面積の大きさに応じて重みをつけた平均のことです。広い方の地域の建ぺい率ほど、全体の数字に強く効きます。

敷地の半分を超える方の建ぺい率を使ってはいけませんか?

建ぺい率では使いません。半分を超える方に合わせるのは用途制限などの話で、建ぺい率と容積率は対象から外れています。

用途地域の境目の位置はどうやって確かめますか?

自治体の都市計画図や窓口で確かめます。境目の位置で面積の割合が変わるので、土地のある自治体の都市計画の窓口に聞いてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 建ぺい率がまたがる敷地は、面積の割合で按分して合計する(加重平均)
  • 計算は「地域ごとの面積を出す・建ぺい率をかける・足す」の3ステップ
  • 敷地の半分を超える方に合わせる決まりは、建ぺい率には使わない
  • 防火地域・準防火地域がまたがる時は、建物全体の構造で緩和の扱いが変わる
  • 容積率も同じように按分する
建ぺい率ドットコム

建ぺい率ドットコム 編集部

建ぺい率の意味と計算、用途地域ごとの数値、角地や防火地域の緩和、カーポートやバルコニーの扱い、調べ方までを、家づくりや土地探しの前に分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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