建ぺい率はいつから始まった?制度の歴史と法改正の流れ

建ぺい率がいつから始まったのかを紹介する記事のアイキャッチ。古い図面と新しい敷地図、家の模型

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古い実家の建て替えを考えていて、『昔も建ぺい率ってあったの?』と気になった。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、建ぺい率の考え方は大正時代の「市街地建築物法」のころからありました。昭和25年に建築基準法ができてからも続き、その後の法改正で少しずつ形を変えてきたんです。

この記事では、建ぺい率がいつから始まったのかと、昔と今で何が変わったのかを、年表でお伝えしますね。

目次

建ぺい率はいつから始まった?

先に結論

国土交通省の年表では、大正8年(1919年)の市街地建築物法の時代から、用途地域ごとの高さと建ぺい率の決まりがあったとされています。今の形の土台は、昭和25年(1950年)の建築基準法です。

建ぺい率(建蔽率)とは、土地の広さのうち、建物で覆ってよい割合のことです。今は建築基準法の第53条で決められています。

国土交通省の資料にある「建築基準法の制定・主な改正経緯」の年表を見ると、始まりは大正時代にさかのぼります。100年以上前から、街の建物の広がりを決める仕組みがあったんです。

市街地建築物法の時代

大正8年(1919年)に、都市計画法とともに「市街地建築物法」が公布されました。当時は、住居・商業・工業の3つの地域などに分けて、地域ごとに高さと建ぺい率を決めていました。

ただ、この法律が使われたのは大都市に限られていました。今のように全国の都市計画区域で同じ仕組みが使われていたわけではないんです。

施行の年は資料で違う

国土交通省の年表では、大正8年に「公布・施行」とされています。一方で、国立公文書館の説明では、大正8年に公布、翌大正9年(1920年)から施行とされています。

当時の地域ごとの具体的な数値までは、今回確かめられた資料では分かりませんでした。この記事では、数値は今の条文のものだけを紹介していきますね。

年表で見る建ぺい率の歴史

ここでの結論

建ぺい率の歴史は「市街地建築物法の時代」「建築基準法の制定」「用途地域の細分化」「緩和の追加」の4つの時期に分けると流れがつかみやすいです。

『結局、いつ何が変わったの?』とまとめて知りたいですよね。国土交通省の年表を中心に、建ぺい率に関わる主な出来事を並べてみました。

年出来事建ぺい率への関わり
大正8年(1919年)市街地建築物法の公布3つの地域ごとに高さと建ぺい率を決める
昭和25年(1950年)建築基準法の公布・施行4つの地域で建ぺい率を決める。角地の緩和や、防火地域の耐火建築物の緩和ができる
昭和27年(1952年)適用除外の追加交番などや、80%の地域の防火地域内の耐火建築物が制限の対象外に
昭和45年(1970年)8つの地域に細分化容積率が全面的に入り、建ぺい率とセットで見る形に
平成4年(1992年)12の地域に細分化住居系の地域がさらに細かく分かれる
平成29年(2017年)田園住居地域の創設翌年4月の施行で用途地域が13種類に。都市計画法の表記が「建蔽率」に
平成30年(2018年)建築基準法の改正準防火地域内の準耐火建築物なども10%緩和の対象に
令和元年(2019年)改正法の全面施行6月25日から、新しい緩和が使えるように
建ぺい率の歴史を、市街地建築物法、建築基準法の制定、地域の細分化、13種類の用途地域、準防火地域の緩和追加の5つの時期に分けて順番に並べた図解

1. 建築基準法の制定(昭和25年)

昭和25年に建築基準法ができて、建ぺい率は今と同じ法律の中に入りました。このころは、住居・商業・準工業・工業の4つの地域に分けて決めていました。

国土交通省の資料では、角地の緩和や、防火地域内の耐火建築物の緩和も、このとき作られたとされています。今でも使われている緩和は、実はこんなに前からあるんです。

2. 容積率の登場と、地域の細分化(昭和45年・平成4年)

国土交通省の資料によると、昭和38年より前は、建物の大きさを主に高さの制限と建ぺい率で決めていました。その後、容積率が加わって、横への広がりと縦への積み上げを分けて見る形になっていきます。

用途地域は、昭和45年の年表で8つに分かれています。平成4年には住居系の地域がさらに細かくなり、12の地域になりました。

8つの地域になった年

国土交通省の年表は昭和45年としていますが、港区の説明では「昭和43年の法改正」で8種類になったとされています。資料によって書き方が違う点は、頭に入れておくと安心です。

3. 13種類の用途地域へ(平成29年)

平成29年の法改正で、「田園住居地域」という新しい用途地域ができました。港区の説明では、平成30年4月1日の施行で用途地域が13種類になったとされていて、これが今の形です。

同じ法改正で、都市計画法の条文の「建ぺい率」という書き方が「建蔽率」に改められました。表記の違いは、建ぺい率の読み方と表記でくわしく紹介しています。

4. 準防火地域の緩和の追加(平成30年改正・令和元年施行)

平成30年の建築基準法の改正で、準防火地域の中の燃えにくい建物にも、建ぺい率の10%緩和が使えるようになりました。国土交通省は、延焼を防ぐ性能が高い建物について建ぺい率を緩和する、と説明しています。

この改正は、令和元年(2019年)6月25日に全面施行されました。今の緩和の条件は、準防火地域の建ぺい率緩和で紹介しています。

建ぺい率の昔と今で変わったこと

ここでの結論

昔と今で大きく変わったのは「地域の分け方が細かくなった」「容積率とセットで見るようになった」「燃えにくい建物への緩和が広がった」の3つです。

年表を見ても、何がどう変わったのかはつかみにくいですよね。昔と今の違いを、暮らしの目線で比べてみました。

今の建ぺい率
  • 用途地域は13種類で、地域ごとに選べる数値が決まっている
  • 容積率とセットで家の大きさが決まる
  • 準防火地域の準耐火建築物なども緩和の対象
昔の建ぺい率
  • 地域の分け方は3〜4つと大まか
  • 高さの制限と建ぺい率で大きさを決めていた
  • 防火の緩和は防火地域の耐火建築物が中心

許可で上限を超えられる仕組みも増えてきた

緩和のほかに、特定行政庁(建築の確認などを担当する自治体)の許可があれば、建ぺい率の上限を超えられる仕組みもあります。こちらも少しずつ増えてきました。

創設の年仕組み
昭和34年公園や広場などの中の建物で、安全上などの支障がないと許可されたもの
平成30年前の道路の境界から下げた壁面線の指定がある時の許可
令和4年省エネのための外壁の工事などで、構造上やむを得ないものの許可

どれも許可が前提なので、ふつうの家づくりで使う場面は多くありません。『こんな仕組みもあるんだ』と知っておく程度で大丈夫です。

自治体が数値を変えることもある

法律の改正とは別に、自治体が都市計画を見直して、指定の建ぺい率を変えることもあります。

例えば大阪市は、平成16年4月に、住居系の一部の地域などで指定の建ぺい率を80%に変えました。この地域で60%を超えて建てる時は、条例で一定の防火の性能が求められます。

法律が使われ始めた時期は地域で違う

国土交通省の資料には、建ぺい率などの決まりは都市計画区域などで使われるので、使われ始めた時期は地域によって違う場合がある、と書かれています。

『うちの地域はいつから?』と気になる時は、土地のある自治体の都市計画の窓口に聞いてみてください。

建ぺい率の歴史でよくある相談

ここでの結論

相談で多いのは「古い家を建て替えるとどうなるか」「建ぺい率はあとで変わるのか」「変わった数値はいつから使えるのか」の3つです。

Q&Aサイトでよく読まれている相談を、要約して答えてみます。歴史が気になる方は、古い家や土地のことで迷っていることが多いんです。

築35年ほどの実家、リフォームと建て替えで違う?

「築35年ほどの実家を、リフォームするか建て替えるかで迷っている。建ぺい率はどう関係するか」という相談は、とてもよく読まれています。

建て替える時は、その時点の決まりに合わせて建てることになります。昔の家が今の建ぺい率より大きく建っている場合、建て替えると同じ広さでは建てられないこともあるんです。

建てた時の決まりには合っていたのに、その後の変更で今の決まりに合わなくなった建物を「既存不適格」と言います。くわしくは既存不適格とはで紹介しています。

古い家を建て替える前に確かめること
  • 今の用途地域と、指定の建ぺい率・容積率
  • 今の家の建築面積と延べ面積
  • 前の道路の幅と、セットバックが必要か
  • 角地や防火の緩和が今の決まりで使えるか

建ぺい率や容積率は、あとで変わる?

「建ぺい率や容積率は、都市計画などで変わっていくものなのか」という相談もあります。

答えは、変わることがあります。大阪市の例のように、自治体が都市計画を見直して、指定の数値を変えることがあるんです。法律の改正で、緩和の条件が広がることもあります。

区画整理で数値が変わる時、いつから使える?

「区画整理などで建ぺい率や容積率が変わる予定だが、いつからその数値で建てられるのか」という相談もありました。

数値が変わる時期は、都市計画の手続きで決まります。予定の段階では、まだ今の数値で計画することになるので、自治体の都市計画の窓口で「いつから変わるか」を確かめておきましょう。

歴史を知ったうえで、今の土地で確かめること

ここでの結論

決まりは時代で変わってきたので、古い資料や昔の家の大きさを基準にせず、今の数値で確かめるのが大事です。最後は、土地のある自治体の建築の窓口や、建築士に確かめると安心です。

『親の家と同じ広さで建てられると思っていた』という声もよく聞きます。ここが大事なところで、今建てるなら、今の決まりで計算しないといけないんです。

例えば150㎡の土地で、今の指定の建ぺい率が60%なら、建築面積は150 × 0.6 = 90㎡までです。昔の家が100㎡で建っていても、緩和が使えなければ、建て替えでは90㎡までになります。

家族で話す時は、こんなふうに整理しておくと迷いにくいですよ。

「前の家と同じ大きさで建て直せるよね?」
「今の建ぺい率で計算すると、1階は少し小さくなるみたい。2階の使い方で考えてみよう」

今の土地で確かめる流れ
  1. 自治体の地図や窓口で、今の用途地域と指定建ぺい率を見る
  2. 敷地面積をかけて、今建てられる建築面積を出す
  3. 角地や準防火地域の緩和が使えるかを確かめる
  4. 今の家の大きさと比べて、建て替え後の広さを考える
古い住宅と新しい住宅が並ぶ住宅街を斜め上から見た様子の写真

今の決まりの中で、どんな家なら建つのか。土地に合わせた間取りプランを住宅会社に出してもらう方法もあります。

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建ぺい率そのものの意味と計算は、建ぺい率とは?意味と計算方法でまとめています。

よくある質問

建ぺい率はいつから始まったのですか?

国土交通省の年表では、大正8年(1919年)の市街地建築物法の時代から、地域ごとの建ぺい率の決まりがあったとされています。今の土台は昭和25年の建築基準法です。

建ぺい率の法改正で、最近変わったことはありますか?

平成30年の改正で、準防火地域の中の準耐火建築物なども10%緩和の対象になりました。令和元年6月25日に全面施行されています。

昔の家が今の建ぺい率を超えているのは違反ですか?

建てた時の決まりに合っていたなら、違反とは扱いが分かれる「既存不適格」の場合があります。ただ、建て替えや増築の時は今の決まりに合わせる必要があります。

角地の緩和はいつからありますか?

国土交通省の資料では、角地の緩和は昭和25年に作られたとされています。角地として認められる条件は、自治体ごとに違います。

まとめ

この記事の要点
  • 建ぺい率の考え方は、大正時代の市街地建築物法のころからある
  • 今の土台は、昭和25年(1950年)の建築基準法
  • 用途地域は4つから、8、12、13種類へと細かくなった
  • 平成30年の改正で、準防火地域の準耐火建築物なども緩和の対象に
  • 建て替えは今の決まりで計算するので、今の数値を確かめておく
建ぺい率ドットコム

建ぺい率ドットコム 編集部

建ぺい率の意味と計算、用途地域ごとの数値、角地や防火地域の緩和、カーポートやバルコニーの扱い、調べ方までを、家づくりや土地探しの前に分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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