既存不適格とは?昔の家が今の建ぺい率に合わない場合

建ぺい率の既存不適格を紹介する記事のアイキャッチ。昔の家の外観と古い図面

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実家や買おうとしている昔の家が、今の建ぺい率をオーバーしていると言われた。『これって違法なの?』と心配になっている方も多いはずです。

結論から言うと、建てた時は適法で、後のルール変更で今の建ぺい率に合わなくなった建物は「既存不適格」と呼ばれます。この場合は、そのまま住み続けられます。ただ、建て替えや増築をする時には、今の基準に合わせる必要が出てきます。

この記事では、建ぺい率の既存不適格とは何か、違反建築物とどう違うのかを、建てた時・今・建て替える時の3つの時点で見ていきますね。

目次

建ぺい率の既存不適格とは?先に結論

先に結論

既存不適格は、建てた時の法律には合っていたのに、後からルールが変わって今の基準に合わなくなった建物のことです。建築基準法3条2項で、変わった後の規定は「適用しない」とされているので、違反建築物とは扱いが違います。

建ぺい率(建蔽率)は、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。建築面積は、建物を真上から見た時に、外壁や柱の中心線で囲まれた広さを言います。

建築基準法3条2項は、新しい規定ができた時や適用される時の決まりです。すでに建っている建物や工事中の建物がその規定に合わない場合、その規定は適用しないとしています。

つまり、ルールが変わったせいで、昨日まで適法だった家が急に違反になる、ということは起きないようになっているんです。

言葉意味
既存不適格建てた時は適法。後の法改正や都市計画の変更で今の基準に合わなくなった
違反建築物建てた時から、または後の増築などで、その時の基準を超えている
共通点どちらも「今の建ぺい率をオーバーしている」状態に見える

『外から見たら同じなのに?』と思いますよね。そこが既存不適格の分かりにくいところなんです。建ぺい率の基本は建ぺい率とは?意味と計算方法で紹介しています。

違反建築物と既存不適格を3つの時点で比べる

ここでの結論

違反建築物と既存不適格は、「建てた時」に適法だったかどうかで分かれます。そして「建て替える時」には、どちらも今の基準に合わせることになります。

違反建築物と既存不適格は、今の時点だけを見ると区別がつきません。時間を追って比べると、違いがはっきりします。

違反建築物と既存不適格を、建てた時・今・建て替える時の3つの時点で比べ、建てた時の適否と今の扱い、建て替え時に今の基準に合わせることを示した図解
時点既存不適格違反建築物
建てた時その時の基準に合っていたその時の基準を超えていた(または後の無確認の増築で超えた)
今今の基準に合わないが、そのまま存在してよい違反の状態。是正の命令を受けることがある
建て替える時今の建ぺい率に合わせる今の建ぺい率に合わせる

国の説明資料でも、既存の適法な建物が法令の改正などで違反建築物にならないよう、適用を除外する仕組みだと説明されています。そのうえで、原則として増改築などの機会に今の規定に合わせる考え方です。

一方で、改正前の規定にも合っていなかった建物は、違反建築物として扱われます(3条3項1号)。『昔の家だから既存不適格』とは限らない、というのが大事なところです。

既存不適格の家は「そのまま」なら問題ない?

既存不適格の家は、手を加えずに住み続ける分には、今の建ぺい率に合わせる必要はありません。違反ではないので、是正の命令の対象にもなりません。

ただ、住宅ローンや売却の場面では、違反建築物と同じように慎重に見られることがあります。ローンへの影響は建ぺい率オーバーの家で住宅ローンは組める?で紹介しています。

自分の家が既存不適格か確かめるには

『うちはどっちなの?』と気になったら、建てた時の書類を探すところから始めてみてください。建てた時の基準に合っていたかは、書類で確かめるのが近道です。

既存不適格か確かめる手がかり
  • 確認済証と検査済証があるか
  • 建てた時の図面で、建築面積と敷地面積が分かるか
  • 建てた後に、増築や物置・サンルームの追加をしていないか
  • 書類がない時は、自治体の台帳記載事項証明書で確認の記録が残っていないか

増築の記録がなく、建てた時の確認と検査を受けていれば、既存不適格の可能性が高くなります。最後は自治体の建築指導課に、書類を持って聞いてみると安心ですよ。

なぜ昔の家に既存不適格が多いの?

ここでの結論

建ぺい率の数値は、建築基準法のメニューの中から都市計画で選ばれます。用途地域や数値が変わったり、建築基準法そのものが改正されたりすると、それより前に建った家が今の基準に合わなくなることがあるんです。

建築基準法は、昭和25年(1950年)に市街地建築物法などを廃止して作られた法律です。それより前の市街地建築物法の時代にも、用途地域ごとの建ぺい率の決まりがありました。

その後、用途地域の種類は増え、平成30年(2018年)には準防火地域の緩和ができるなど、制度は何度も変わってきました。制度の流れは建ぺい率はいつから始まった?制度の歴史と法改正の流れで紹介しています。

既存不適格になるきっかけ例
法律の改正新しい規定ができ、それより前の家が合わなくなる
用途地域の決定や変更地域の種類が変わり、選べる建ぺい率が変わる
建ぺい率の数値の変更都市計画で決めた数値そのものが変わる
都市計画区域の指定区域に入ったことで、建ぺい率の決まりがかかるようになる

建ぺい率は、都市計画区域と準都市計画区域の中で適用される決まりです。区域に入る前に建った家が、指定の後に合わなくなる、ということも起こりえます。

数値が変わる例として、大阪市は平成16年4月に、一部の住居系の地域などの指定建ぺい率を80%に変えたと説明しています。この例は上がった方向ですが、都市計画で数値が変わること自体はあるわけです。

補足

用途地域ごとの建ぺい率の数値が、いつどのように変わってきたかの全体の経緯は、地域ごとに違います。自分の家の土地について知りたい時は、自治体の都市計画の窓口に聞いてみてください。

建て替え・増築・リフォームの時に気をつけること

ここでの結論

既存不適格の家でも、建て替えや増築をすると、その部分には今の建ぺい率がかかります。一方、建ぺい率については、大規模な修繕や模様替えなら今の基準に合わせなくてよい決まりがあります。

既存不適格の家に手を入れる時、一番気になるのは『建て替えたら今より小さくなるの?』という点ですよね。

建築基準法3条3項3号・4号では、規定の施行や適用の後に工事を始めた増築・改築などについては、3条2項の除外が外れるとしています。つまり、その工事には今の基準がかかるんです。

工事の種類建ぺい率の扱い
建て替え(改築)今の建ぺい率に合わせる
増築条文上は、増築後に今の建ぺい率に合わせる必要があると読める
大規模の修繕・模様替建ぺい率の既存不適格は、今の基準への適合は求められない(施行令137条の12第7項)
小さな修繕や内装の工事建築面積が変わらなければ建ぺい率には関係しない
既存不適格の家で、建て替え・増築・大規模の修繕や模様替え・内装の工事のそれぞれに今の建ぺい率がかかるかどうかを示した図解

増築について国の解説での確認は取れていないので、実際の計画では建築士や自治体の建築指導課に確かめてみてください。増築とリフォームの考え方は増築・リフォームと建ぺい率でくわしく紹介しています。

建て替えるとどれくらい小さくなる?

ここからは説明用の例です。敷地100㎡の土地に、建築面積60㎡の昔の家が建っているとします。今の建ぺい率が50%なら、上限は100㎡×0.5=50㎡です。

ケース建築面積の上限今の家との差
今の建ぺい率50%で建て替える100㎡×0.5=50㎡10㎡小さくなる
角地の緩和で10%上がる場合100㎡×0.6=60㎡今と同じ広さまで建てられる

建ぺい率は1階の広さの話なので、2階の使い方しだいで床面積を確保できることもあります。角地などの緩和が使えるかも含めて、建て替えのプランで確かめておきましょう。

気をつけたいこと

既存不適格の家に、確認を受けずにサンルームや物置を足して建築面積を増やすと、その部分は違反になります。既存不適格だった家が、違反建築物の扱いになってしまうことも。足す前に建築士や自治体に相談しておきましょう。

よくある相談:昔の家と建ぺい率で迷うところ

ここでの結論

相談で多いのは「実家をリフォームするか建て替えるか」「最近の家は土地いっぱいに建っているのでは」「近所で建ぺい率が守られていない家がある」の3つです。

Q&Aサイトでよく読まれている相談を要約して、答えてみます。

築30年以上の実家、リフォームと建て替えのどちらがいい?

「築35年ほどの実家を、結婚や出産を機にリフォームするか建て替えるか迷っている。建ぺい率が関係すると聞いた」という相談はよく読まれています。

既存不適格の家なら、建て替えると今の建ぺい率に合わせることになり、1階が小さくなる場合があります。一方、建築面積を変えないリフォームなら、建ぺい率の面では今の広さを保ちやすくなります。

まずは確認済証や図面で今の建築面積を確かめ、建て替えた場合の上限と比べてみてください。

最近の家は土地いっぱいに建てていない?

「最近の住宅は、土地が狭くても目いっぱいに建てているように見える」という相談もあります。

建ぺい率の数値は地域によって違い、角地や防火地域では緩和もあります。同じ広さの土地でも、建てられる1階の広さは場所によって変わるんです。

近所で建ぺい率が守られていない家がある

「建ぺい率40%の地域なのに、近所でそれを超えていそうな家がある」という相談も読まれています。

外から見て超えていそうでも、昔に建てられた既存不適格の家かもしれません。違反かどうかは、外から見ただけでは分からないんです。建ぺい率オーバーの扱い全体は建ぺい率オーバーするとどうなる?で紹介しています。

建て替えを考えているなら、今の建ぺい率でプランを比べる

ここでの結論

既存不適格の家を建て替える時は、今の建ぺい率でどんな家が建つかを、早めに具体的なプランで確かめておくと安心です。

建て替えで1階が小さくなる時は、2階の使い方や間取りの工夫で暮らしやすさを補えるかがポイントになります。住宅会社に相談する時は、こんなふうに伝えると話が早いですよ。

「今の家は既存不適格なので、今の建ぺい率で建て替えた場合の1階の広さを教えてもらえますか?」
「角地の緩和が使えるかも確かめて、2階で補う間取りも出してみますね」

土地の建ぺい率の中でどんな家が建つかは、住宅会社によって提案が違います。いくつかのプランを並べると、今の家と比べて何が変わるかが見えやすくなります。

タウンライフ家づくりでは、希望の条件を入れるだけで、複数の住宅会社に間取りプランや資金計画、土地探しの提案を無料で依頼できます。建て替えた後にどんな家になるかを、具体的なプランで見比べてみるのも1つの方法です。

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設計事務所に相談したり、自治体の窓口で建ぺい率を確かめたりするのも立派な進め方です。最後は土地のある自治体の建築指導課や、設計を頼む建築士に確かめれば安心ですよ。

よくある質問

既存不適格の家は違法ですか?

違法ではありません。建てた時は適法で、後の法改正などで今の基準に合わなくなった建物は、建築基準法3条2項で変わった後の規定を適用しないとされています。

既存不適格の家を建て替えると、同じ広さで建てられますか?

建て替えでは今の建ぺい率に合わせるので、同じ広さで建てられない場合があります。角地などの緩和が使えるかも含めて、建築士や住宅会社に確かめてみてください。

昔の家はすべて既存不適格ですか?

いいえ。建てた時の基準にも合っていなかった家は、違反建築物として扱われます。確認済証や検査済証、図面で、建てた時の状況を確かめてみてください。

既存不適格の家をリフォームする時、建ぺい率は関係ありますか?

建築面積を増やさない工事なら、建ぺい率の面では影響しにくいです。建ぺい率の既存不適格は、大規模の修繕や模様替えでも今の基準への適合は求められません。増築は別なので、計画の段階で確かめましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 既存不適格は、建てた時は適法で、後のルール変更で今の基準に合わなくなった建物
  • 違反建築物とは扱いが違い、そのまま住み続けられる
  • 当時の基準にも合っていなかった昔の家は、違反建築物になる
  • 建て替えや増築では、今の建ぺい率に合わせることになる
  • 大規模の修繕・模様替えなら、建ぺい率の適合は求められない
建ぺい率ドットコム

建ぺい率ドットコム 編集部

建ぺい率の意味と計算、用途地域ごとの数値、角地や防火地域の緩和、カーポートやバルコニーの扱い、調べ方までを、家づくりや土地探しの前に分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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