準工業地域の建ぺい率は?工業地域との違いと工場や倉庫を建てる時の目安

準工業地域の建ぺい率を紹介する記事のアイキャッチ。住宅と倉庫が混ざる街並みと敷地図

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気になる土地の資料に「準工業地域」と書いてあって、家を建てても大丈夫なのか、建ぺい率はどう見ればいいのか迷っている。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、準工業地域の建ぺい率は50・60・80%のどれかで、住宅も建てられる地域です。工業地域は50・60%、工業専用地域は30〜60%で、工業専用地域だけは住宅が建てられません。

この記事では、工業系の3つの地域の建ぺい率の違いと、工場や倉庫を建てる時に気をつけたい点をお伝えしますね。

目次

準工業地域の建ぺい率は50・60・80%のどれか

先に結論

準工業地域の建ぺい率は、建築基準法53条1項2号のメニューから50・60・80%のどれかが都市計画で選ばれます。第一種住居地域などと同じ選択肢です。

建ぺい率(建蔽率)は、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。建築面積は、建物を真上から見た時に、外壁や柱の中心線で囲まれた広さを言います。

『工業っていう名前だから、建ぺい率も特別なのかな』と思いますよね。実は、準工業地域の選択肢は住居地域や準住居地域と同じなんです。

敷地120㎡で計算してみる

同じ準工業地域でも、選ばれた数値で建てられる1階の広さが変わります。敷地120㎡を例にしてみます。

指定建ぺい率計算建築面積の上限
50%120㎡×0.560㎡
60%120㎡×0.672㎡
80%120㎡×0.896㎡

数字は説明用の例です。60%と80%では、24㎡の差が出ます。

80%を選んでいる自治体もある

大阪市では、準工業地域の一部について、平成16年4月に指定建ぺい率を80%に変更しています。この地域で60%を超えて建てる時は、条例に基づいて一定の防火性能を持った建物にすることが求められています。

同じ準工業地域でも、自治体や場所によって数値は違います。土地ごとに都市計画図で確かめておきましょう。

準工業・工業・工業専用の3地域を比べる

ここでの結論

工業系の3地域は「住宅が建つか」と「建ぺい率の選択肢」で大きく分かれます。住宅が建てられないのは工業専用地域だけで、建ぺい率の幅がいちばん広いのは準工業地域です。

工業地の建ぺい率を調べていると、名前が似た3つの地域が出てきます。住まいを考えている方にとって大事な2つの点で並べてみました。

地域住宅が建つか選べる建ぺい率選べる容積率
準工業地域建てられる50・60・80%100〜500%
工業地域建てられる50・60%100〜400%
工業専用地域建てられない30・40・50・60%100〜400%

容積率は、敷地面積に対する延べ面積(各階の床面積の合計)の割合です。数値は建築基準法52条1項・53条1項のメニューです。

準工業地域・工業地域・工業専用地域を、住宅が建つかどうかと選べる建ぺい率で比べた図解

工業専用地域では、建築基準法の別表第二で「住宅」「共同住宅、寄宿舎又は下宿」は建ててはならないとされています。ほかの用途地域との比べ方は用途地域ごとの建ぺい率一覧で紹介しています。

前面道路の幅で容積率が下がることもある

工業系の地域では、前面道路の幅が12m未満だと、容積率は「道路の幅のメートル数×10分の6」以下にもなります(特定行政庁が指定する区域は別の数値)。

例えば道路の幅が6mなら、6×0.6=3.6で360%です。準工業地域で400%が指定されていても、小さい方の360%が上限になります。

工業地域の建ぺい率は50%か60%

工業地域の選択肢は50・60%の2つだけです。80%の選択肢がないので、準工業地域より1階を広く取りにくい場合があります。

住まいとして見るなら周りの様子も大事

準工業地域や工業地域は、住宅も建てられますが、工場などと混ざって建つ地域です。『数値がいいから』だけで決めず、周りの建物や道路の様子を現地で見ておきたいところです。

例えば、土地を案内してもらう時にこんな会話をしておくと安心です。

「この土地は準工業地域ですよね。周りに工場はありますか?」
「近くにいくつかあります。平日の昼に一度見に来てみると様子が分かりますよ」

工場や倉庫を建てる時の建ぺい率の見方

ここでの結論

工場や倉庫の建ぺい率も、計算の仕方は住宅と同じです。ただ、同じ敷地に何棟も建てる時は合計で計算すること、荷物の積み下ろし用の軒には特例があることを知っておくと役に立ちます。

建ぺい率と工場の関係で迷いやすいのは、敷地に建物が何棟もある時です。建築基準法53条1項では、同じ敷地に2つ以上の建物がある時は、建築面積の合計で計算するとしています。

例えば敷地1,000㎡・建ぺい率60%なら、上限は600㎡です。工場棟400㎡と事務所棟150㎡を建てると合計550㎡で、残りは50㎡になります。

敷地1,000㎡・建ぺい率60%の工場の敷地で、工場棟と事務所棟の建築面積を合計して上限と比べる計算例を示した図解

荷物の積み下ろし用の軒には特例がある

建物から1m以上突き出た軒やひさしは、その先端から1m下がった線までが建築面積に入るのが原則です。

ただ、工場や倉庫で、もっぱら荷物の積み下ろしなどのために設ける軒で国土交通大臣が定めるもの(特例軒等)は扱いが違います。突き出しが1m以上5m未満なら、この算入の対象から外れます。

補足

特例軒等は、建ぺい率を計算する時の建築面積だけの決まりです。住宅の軒やひさしには関係しないので、自宅の計画では通常どおり1mを目安に考えてください。

小さな物置やコンテナの扱い

外から荷物を出し入れし、中に人が入らない小規模な倉庫(物置など)は、国土交通省の技術的助言で建築物に当たらないとされています。一方で、随時かつ任意に移動できないコンテナは建築物に当たり、建築確認が必要です。

設計の相談では、こんなやり取りになることもあります。

「敷地の空いている所に、倉庫をもう1棟建てられますか?」
「今の建物の建築面積を全部足して、上限まで何㎡残っているかを先に計算してみましょう」

倉庫の扱いは倉庫は建ぺい率に入る?でくわしく紹介しています。

よくある失敗

『あとから倉庫を1棟足すだけだから』と、建築面積の合計を確かめずに計画してしまうことがあります。敷地の中の建物はすべて合計するので、増やす前に今の建築面積を確かめておきましょう。

角地や防火の緩和は工業系の地域でも使える

ここでの結論

角地や防火地域・準防火地域の緩和は、工業系の地域でも同じように使えます。準工業地域で80%が選ばれている防火地域なら、耐火建築物等は建ぺい率の制限がなくなります。

建築基準法53条3項では、角地の指定か防火の条件のどちらかで+10%、両方で+20%が上乗せされます。

防火地域・準防火地域は、火事が燃え広がらないよう建物の造りを厳しくしている地域です。耐火建築物や準耐火建築物は、火に強い造りとして法律で決められた建物のことです。

工業系の土地で建ぺい率を確かめる時
  • 準工業・工業・工業専用のどれかを確かめた
  • 指定建ぺい率と指定容積率を書き写した
  • 防火地域か準防火地域かを確かめた
  • 角地の指定を受けられるかを自治体の基準で確かめた
  • 同じ敷地にある建物の建築面積をすべて足した

『指定80%の防火地域で耐火建築物等』という条件は、準工業地域でも当てはまることがあります。この場合は53条6項1号で、建ぺい率の制限そのものが適用されません。

指定の数値ごとに、条件がそろった時の上限を早見表にしてみました。

指定建ぺい率角地か準防火の条件のどちらか角地と準防火の条件の両方防火地域の耐火建築物等
50%(準工業・工業)60%70%60%(角地もあれば70%)
60%(準工業・工業)70%80%70%(角地もあれば80%)
80%(準工業)90%100%制限なし

『工業地域なら80%の選択肢がないから、制限なしにはならないの?』という疑問もありますよね。そのとおりで、工業地域は50%か60%なので、防火地域でも上乗せの扱いになります。

よくある相談:工業系の地域の建ぺい率

ここでの結論

工業系の地域の相談は「面積の算定式」「耐火の住宅で建ぺい率が増えるか」「商業地域との違い」に集まります。どれも式に当てはめれば答えが出せます。

Q&Aサイトでよく読まれている相談を、要約して答えてみます。

準工業地域で敷地1,500㎡・60%・200%の算定式は?

敷地面積1,500㎡、準工業地域、建ぺい率60%、容積率200%の時の、建築面積と延べ面積の求め方を知りたいという相談です。

建築面積の上限は1,500㎡×0.6=900㎡、延べ面積の上限は1,500㎡×2=3,000㎡です。建ぺい率は建築面積÷敷地面積×100、容積率は延べ面積÷敷地面積×100で出せます。

準防火地域の準工業地域、耐火の木造住宅なら建ぺい率は増える?

準防火地域・準工業地域で建ぺい率60%、容積率200%の土地に、耐火の木造住宅を建てると建ぺい率は増えるか、という相談もあります。

準防火地域では、耐火建築物等か準耐火建築物等なら+10%です。条件に合えば60%が70%になり、敷地100㎡なら70㎡まで建てられます。

ただ、建てる家がこの条件に当たるかは、設計の段階で確かめる必要があります。住宅会社に「準防火地域の緩和を使えますか」と聞いてみてください。

準工業地域と商業地域、建ぺい率で見るとどう違う?

準工業地域と商業地域のどちらがいいか、という相談もよく読まれています。価値の比べ方はいろいろですが、建ぺい率で見ると決まり方が違います。

項目準工業地域商業地域
建ぺい率50・60・80%から選ぶ80%のみ
容積率100〜500%200〜1300%

建ぺい率を調べたら、この土地にどんな家が建つのかも見たくなりますよね。住まいを建てる予定なら、土地の条件に合わせた間取りプランを住宅会社に出してもらう方法もあります。

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工業系の地域の土地を活かしたい時は

ここでの結論

工業系の地域の土地は、住宅・倉庫・事業用の建物など、使い方の幅が広いのが特徴です。ただ、建てられる建物の種類は地域ごとに別表第二で決まっているので、計画の前に確かめておきます。

『使っていない工業系の土地を、何かに活かせないか』と考えている方もいますよね。まずは用途地域、建ぺい率、容積率、道路の幅を書き出してみるのがおすすめです。

工業系の土地の使い方を考える順番
  1. 用途地域の名前と指定建ぺい率・容積率を確かめる
  2. 工業専用地域なら、住宅や賃貸住宅は建てられないことを押さえる
  3. 前面道路の幅から容積率の上限を計算する
  4. 建てたい建物がその地域で建てられる種類かを確かめる
  5. 自宅・倉庫・賃貸など使い方の候補を並べて比べる

土地活用の考え方は土地活用と建ぺい率で紹介しています。自分で計算する、自治体の窓口で聞く、設計事務所に相談する、どれも正当な方法です。

最後は土地のある自治体の建築指導課や、設計を頼む建築士に確かめておけば安心です。そのうえで、この土地でどんな活用ができるかを、複数の会社の活用プランで比べてみる方法もあります。

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よくある質問

準工業地域の建ぺい率は何%ですか?

50・60・80%のうち、都市計画で選ばれた数値です。土地ごとに違うので、自治体の都市計画図で確かめます。

工業地域の建ぺい率は何%ですか?

50%か60%のどちらかです。工業専用地域は30・40・50・60%から選ばれます。

準工業地域に家は建てられますか?

建てられます。工業系の地域で住宅を建ててはならないとされているのは工業専用地域です。

工業地域で角地なら建ぺい率は上がりますか?

特定行政庁が指定する角地なら+10%です。60%の工業地域なら70%になります。角地の基準は自治体ごとに違うので、その自治体の基準で確かめておきましょう。

工場の建ぺい率は、敷地の中の建物を全部足して計算しますか?

はい、同じ敷地に2つ以上の建物がある時は、建築面積の合計で計算します。工場棟・事務所棟・倉庫などをすべて足して、上限に収まるか確かめます。

まとめ

この記事の要点
  • 準工業地域の建ぺい率は50・60・80%から選ばれる
  • 工業地域は50・60%、工業専用地域は30〜60%から選ばれる
  • 住宅が建てられないのは工業専用地域だけ
  • 工場や倉庫は、同じ敷地の建物の建築面積を合計して計算する
  • 荷物の積み下ろし用の軒には特例軒等の決まりがある
建ぺい率ドットコム

建ぺい率ドットコム 編集部

建ぺい率の意味と計算、用途地域ごとの数値、角地や防火地域の緩和、カーポートやバルコニーの扱い、調べ方までを、家づくりや土地探しの前に分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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