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土地の資料を見ていたら「建ぺい率60%」と書いてあって、何のことか分からず手が止まった。そんな方も多いはずです。
結論から言うと、建ぺい率とは「土地の広さのうち、建物で覆ってよい割合」のことです。真上から見た時に、建物の影が土地のどれくらいを占めてよいかの上限だと思ってください。
この記事では、意味と計算のしかた、数値の決まり方、緩和の考え方、容積率との違いまでを、例を使ってお伝えしますね。
建ぺい率とは?ひと言でいうと「建物の影が落ちる割合」
建ぺい率は「建築面積 ÷ 敷地面積」で求める割合です。土地ごとに上限が決まっていて、その数値を超える建物は建てられません。
建ぺい率(建蔽率)は、建築基準法の第53条で決められています。条文では「建築物の建築面積の敷地面積に対する割合」と書かれているんです。
言葉だけだと分かりにくいですよね。そこで、空の真上から家を見下ろした様子を思い浮かべてみてください。
家の屋根の形が、土地の上に影のように落ちて見えるはずです。その影の広さが土地全体の何割かを表したものが、建ぺい率です。

3つの言葉だけ押さえれば大丈夫
建ぺい率の話には、似た言葉がいくつも出てきます。ここでは次の3つだけ覚えておけば十分です。
| 言葉 | かみくだくと | 例 |
|---|---|---|
| 敷地面積 | 土地の広さ(真上から見た広さ) | 100㎡の土地 |
| 建築面積 | 建物を真上から見た時の広さ | 1階が60㎡の家 |
| 建ぺい率 | 建築面積が敷地面積の何割か | 60㎡ ÷ 100㎡ = 60% |
『建築面積って、1階の床の広さと同じ?』と思いますよね。似ていますが、2階が1階より張り出していれば、その張り出しも真上から見た影に入ります。
「指定建ぺい率」と「土地の建ぺい率」の違い
不動産の資料に書かれている数値は、多くの場合「指定建ぺい率」です。これは、その土地に建てる建物が超えてはいけない上限のことなんです。
一方で、実際に建っている家の割合を計算した値も「この家の建ぺい率は50%」のように呼ばれます。上限の話か、実際の割合の話かを分けて読むと、混乱しにくくなりますよ。
- 指定建ぺい率:都市計画で決まった、その土地の上限
- 家の建ぺい率:実際に建っている建物を計算した割合
- 土地に対して建ぺい率が何%か、と言う時は、ふつう上限の方を指します
建ぺい率の計算方法を具体例で見てみよう
計算は「敷地面積 × 建ぺい率 = 建てられる建築面積の上限」と覚えると使いやすいです。逆に今の家を確かめる時は「建築面積 ÷ 敷地面積 × 100」です。
計算と聞くと身構えてしまう方もいるかもしれません。ただ、使うのはかけ算とわり算だけなんです。
建ぺい率の計算には、向きが2つあります。どちらを知りたいかで式が変わるので、まず自分がどちらかを決めてみてください。
| 知りたいこと | 式 | 例 |
|---|---|---|
| どこまで建てられるか | 敷地面積 × 指定建ぺい率 | 150㎡ × 60% = 90㎡まで |
| 今の家は何%か | 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100 | 80㎡ ÷ 150㎡ × 100 = 約53.3% |
上の例なら、建築面積80㎡の家は約53.3%です。上限の60%以下なので、ルールの範囲に入っています。
坪で考えたい時の例
土地の広告は坪で書かれていることも多いですよね。1坪は約3.3㎡なので、坪のまま計算してもかまいません。
例えば40坪の土地で建ぺい率60%なら、40 × 0.6 = 24坪です。真上から見た建物の広さを、24坪(約79㎡)まで取れるという意味になります。
道路に面した部分が引かれることもある
前の道路の幅が4mより狭い場合、土地の一部を道路として下げる「セットバック」が必要なことがあります。この下げた部分は、敷地面積に入れません。
例えば150㎡の土地で5㎡のセットバックがあれば、計算に使う敷地面積は145㎡です。建ぺい率60%なら、上限は145 × 0.6 = 87㎡になります。
土地の広告に書かれた面積を、そのまま敷地面積として計算してしまうことです。セットバックがある土地では、建てられる広さが少し小さくなります。
計算のパターンをもっと見たい方は、建ぺい率の計算方法と具体例で緩和を入れた例まで紹介しています。
容積率との違いは「広がり」と「ボリューム」
建ぺい率は「土地の上にどれだけ広がるか」、容積率は「建物の床をどれだけ積み上げるか」の上限です。家の大きさは、この2つの両方で決まります。
土地の資料には、たいてい「建ぺい率60%・容積率200%」のように2つ並んでいますよね。セットで見る理由は、それぞれ見ている所が違うからなんです。
- 建築面積 ÷ 敷地面積
- 真上から見た広さで決まる
- 平屋の広さに直結する
- 延べ面積 ÷ 敷地面積
- 各階の床の合計で決まる
- 2階建て・3階建ての総面積に効く
延べ面積というのは、1階・2階など各階の床面積を全部足した広さです。
例えば150㎡の土地で建ぺい率60%・容積率200%なら、建築面積は90㎡まで、延べ面積は300㎡までです。90㎡の総2階なら延べ180㎡なので、どちらの上限にも収まります。
ただ、容積率は前の道路の幅によって、指定の数値より小さくなることがあります。2つの違いと計算は、建ぺい率と容積率の違いでじっくり比べています。
住宅の建ぺい率はどう決まる?用途地域ごとの数値
建ぺい率は、法律が用意した選択肢の中から、自治体が都市計画で地域ごとに選んでいます。低層住居専用地域など住宅向けの地域では、30〜60%の中から選ぶ決まりです。
『自分の土地の建ぺい率は、誰がどうやって決めたの?』と気になりますよね。実は、数値は土地ごとにばらばらに決まっているわけではないんです。
街は「用途地域」という13種類の地域に分けられています。用途地域は、住宅地・商店街・工場街など、その場所をどんな街にしたいかで分けた区分です。
建築基準法には、用途地域ごとに選べる建ぺい率の数値が並んでいます。その中から自治体が都市計画で選んだ値が、あなたの土地の指定建ぺい率です。
| 用途地域のグループ | 選べる建ぺい率 |
|---|---|
| 低層住居専用地域・中高層住居専用地域・田園住居地域・工業専用地域 | 30・40・50・60% |
| 第一種・第二種住居地域・準住居地域・準工業地域 | 50・60・80% |
| 近隣商業地域 | 60・80% |
| 商業地域 | 80% |
| 工業地域 | 50・60% |
| 用途地域の指定のない区域 | 30〜70%(特定行政庁が定める) |
特定行政庁というのは、建築の確認などを担当する自治体のことです。多くの場合は、市や区、都道府県だと思っておけば大丈夫です。
同じ用途地域でも数値が違うことがある
表を見ると分かるように、1つの用途地域でも選択肢が複数あります。同じ第一種低層住居専用地域でも、街によって40%だったり60%だったりするんです。
例えば岐阜市は、第一種低層住居専用地域に40・50・60%を指定しています。大阪市は、住居系の一部地域の指定建ぺい率を80%に変えた例もあります。
つまり、「この用途地域だから何%」とは言い切れません。用途地域ごとの詳しい数値は、用途地域ごとの建ぺい率一覧で見られます。
都市計画区域の外はどうなる?
建ぺい率のルールは、都市計画区域と準都市計画区域の中で使われます。そのどちらでもない区域では、建築基準法の第53条そのものは使われません。
ただし、都道府県知事が指定した区域では、条例で別の制限がかかることもあります。区域の外だから何でも建てられる、と思い込まないようにしておきましょう。
建ぺい率の緩和:角地や防火地域で上限が上がる
条件を満たすと、指定建ぺい率に10%、両方満たせば20%が足されます。代表的なのは「角地」と「防火地域・準防火地域で燃えにくい建物を建てる場合」です。
『うちの土地、もう少し広く建てられないかな』と思った時に知っておきたいのが緩和です。条件が合えば、上限がそのまま上がるんです。
- 土地が角地として自治体に指定される条件に合うか
- 防火地域か準防火地域に入っているか
- 建てる家が耐火建築物や準耐火建築物(またはそれと同じくらい燃えにくい建物)か
耐火建築物・準耐火建築物は、火事の時に燃え広がりにくいように作られた建物のことです。どちらに当たるかは、家の構造や使う材料で決まります。
緩和を入れた計算の例
例えば150㎡の土地で指定建ぺい率60%、角地の緩和が使えるとします。60%に10%を足して70%なので、150 × 0.7 = 105㎡まで建てられます。
角地の緩和と防火の緩和の両方が使えれば、60%に20%を足して80%です。同じ150㎡なら、150 × 0.8 = 120㎡まで広がります。
| 条件 | 上限の建ぺい率 | 150㎡の土地での建築面積 |
|---|---|---|
| 緩和なし | 60% | 90㎡まで |
| 角地のみ | 70% | 105㎡まで |
| 角地と防火の両方 | 80% | 120㎡まで |

角地の条件は自治体ごとに違う
ここが大事なところです。角地として認められる条件は、自治体の細則などで決まっていて、街ごとに違うんです。
例えば道路の交わる角度、道路の幅、土地のまわりのうち道路に接する割合などが条件になっています。「角にある土地だから大丈夫」と決めつけず、土地のある自治体の建築の窓口で確かめておくと安心です。
打ち合わせでは、こんなやり取りになることもあります。
「この土地は角地なので、建ぺい率は70%で考えていいですか」
「角地の指定に当たるかを、自治体の基準で確かめてから決めましょう」
建ぺい率の制限がなくなる場合もある
指定建ぺい率が80%の地域で、防火地域の中に耐火建築物などを建てる時は、建ぺい率の制限そのものがかかりません。交番や公衆トイレなども、制限の対象から外れています。
緩和の細かい条件は、建ぺい率の緩和の条件でまとめています。
建ぺい率でよくある相談
相談で多いのは「この数値で希望の家が建つか」「はみ出すベランダは入るのか」「空いた土地を別の使い方にできるか」の3つです。
Q&Aサイトでよく読まれている相談を、要約して答えてみます。家の建ぺい率で迷うのは、だいたいこのあたりなんです。
37坪・建ぺい率80%で、平屋は建てられる?
「37坪で建ぺい率80%・容積率200%の土地に、3人家族で平屋を建てたい」という相談です。たくさん読まれている質問なんです。
計算すると、37 × 0.8 = 29.6坪まで建物で覆えます。数字の上では、建築面積が30坪近い平屋を考えられる土地です。
ただ、車を置く場所や庭、隣の家との間のすき間も、土地の中に取る必要がありますよね。上限いっぱいの平屋にするかは、駐車台数や暮らし方と一緒に考えてみてください。
2階のはみ出したベランダは建ぺい率に入る?
「1階の駐車場の屋根がわりに、2階のベランダを大きく張り出したい。はみ出た部分は建ぺい率に入るのか」という相談もあります。
建築面積のルールでは、はね出したベランダや軒などは、壁や柱の中心から1m以上出ていると、先端から1m引いた所までが建築面積に入ります。つまり、大きく張り出すほど、建ぺい率に入る部分が増えるんです。
張り出しの長さや柱の有無で扱いが変わるので、設計の段階で建築士に計算してもらうのが確実です。
家を建てた残りの土地を、駐車場にしてもいい?
「70坪・建ぺい率80%の土地に30坪の家を建て、残りを駐車場にしたい」という相談もありました。
70 × 0.8 = 56坪が上限なので、30坪の家は建ぺい率の範囲に入ります。屋根のない駐車場は建物ではないので、ふつうは建築面積に入りません。
駐車場として人に貸す場合は、用途地域などほかのルールも関わります。建ぺい率で問題がなくても、使い方は自治体に確かめておきましょう。
自分の土地の建ぺい率を調べるには
調べ方は「自治体の都市計画の地図を見る」「窓口に聞く」「不動産会社の資料を見る」の3つです。緩和の可否まで知りたい時は、建築の窓口に聞くのが確実です。
建ぺい率が大事なのは分かったけれど、自分の土地は何%なのか。ここが一番知りたいところですよね。
- 土地の住所(地番)を手元に用意する
- 自治体の都市計画の地図で、用途地域と指定建ぺい率を見る
- 角地や防火地域に当たりそうなら、緩和が使えるか建築の窓口に聞く
- セットバックの有無を確かめ、実際の敷地面積で計算する
自治体の多くは、用途地域や指定建ぺい率をネットの地図で公開しています。ただ、境目に近い土地や、緩和が関わる土地は、地図だけでは判断しにくいこともあります。
例えば、窓口ではこんなふうに聞くと話が早いです。
「この地番の土地で家を建てたいのですが、建ぺい率と、角地の緩和が使えるかを知りたいです」
「用途地域は第一種住居地域で60%ですね。角地の指定は、道路の条件を確かめてからお答えします」
調べ方の詳しい手順は、建ぺい率の調べ方で紹介しています。
土地の資料で見ておきたい欄
土地の販売図面や重要事項説明書には、建ぺい率に関わる欄がいくつも並んでいます。数字が多くて、どこを見ればいいか迷いますよね。
建ぺい率の話で見ておきたいのは、次の5つです。この5つがそろえば、自分で上限を計算できます。
| 資料の欄 | 何を見るか | 見落としやすい所 |
|---|---|---|
| 用途地域 | どの地域に入っているか | 2つの地域にまたがっていないか |
| 建ぺい率 | 指定の数値 | 緩和を足した後の数値か、指定のままか |
| 敷地面積 | 計算に使う広さ | 道路として下げる部分が含まれていないか |
| 前面道路 | 道路の幅と種類 | 幅が4m未満でセットバックがないか |
| 防火の指定 | 防火地域・準防火地域か | 緩和の条件と、建てる家の構造が合うか |
例えば「建ぺい率70%」と書かれていても、指定は60%で、角地の緩和を足した値という場合もあります。『書いてある数字そのままで計画していいの?』と思ったら、どの数字なのかを売主側や不動産会社に聞いてみてください。
土地が2つの用途地域にまたがっている時は、面積の割合で建ぺい率を按分して計算します。例えば200㎡の土地のうち、120㎡が60%、80㎡が80%なら、120 × 0.6 + 80 × 0.8 = 136㎡が上限です。
建てた後に広げるのはやめておこう
建ぺい率を超える建物は、建築基準法に合いません。検査の後に増築する、届け出ずに建てるといったことは、あとで困る原因になります。
『少しくらいなら、ばれないのでは』と考えてしまう気持ちも分かります。ただ、建ぺい率はあとからでも図面や現地で確かめられる数字なんです。
- 建築確認の後に、届け出ずにサンルームや部屋を足す
- 図面と違う大きさで建てる
- 緩和が使えるか確かめないまま、使える前提で設計する
建築確認というのは、工事の前に、計画が法律に合っているかを役所や検査機関に確かめてもらう手続きです。防火地域・準防火地域の外での10㎡以内の増築など、手続きがいらない場合でも、建ぺい率のルール自体は守る必要があります。
昔は合っていたのに、後からルールが変わって今の基準に合わなくなった家もあります。こうした家は、わざと違反した家とは扱いが分かれます。くわしくは既存不適格とはで紹介しています。
建ぺい率から家の広さを考える
建ぺい率が分かると、次は『この土地で、どんな家が建つの?』が気になってきますよね。
同じ建ぺい率でも、間取りの工夫しだいで暮らしやすさは大きく変わります。自分で計算したうえで、土地に合わせた間取りプランを住宅会社に出してもらう方法もあります。
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よくある質問
建ぺい率とは何ですか?わかりやすく言うと?
土地の広さのうち、建物で覆ってよい割合です。真上から見た建物の広さ(建築面積)を、土地の広さ(敷地面積)で割って求めます。
建ぺい率は建築基準法のどこで決まっていますか?
建築基準法の第53条です。用途地域ごとに選べる数値が並んでいて、その中から自治体が都市計画で選びます。
指定建ぺい率ちょうどの家は建てられますか?
建てられます。法律は「超えてはならない」と決めているので、上限ちょうどまでは大丈夫です。ただ、端数の扱いは自治体で違うので、ぎりぎりの時は確かめておきましょう。
建ぺい率に駐車場は入りますか?
屋根のない駐車場は建物ではないので、ふつうは入りません。カーポートのように屋根がある物は扱いが変わるので、カーポートの建ぺい率を見てみてください。
住宅の建ぺい率は何%くらいが多いですか?
低層住居専用地域など住宅向けの用途地域では、30〜60%の中から選ぶ決まりです。どの値になるかは街によって違うので、土地ごとに確かめるのが確実です。
まとめ
- 建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のこと
- 計算は「敷地面積 × 建ぺい率 = 建てられる建築面積」
- 数値は用途地域ごとの選択肢から、自治体が都市計画で選んでいる
- 角地や防火地域の条件で10%、両方で20%上がることがある
- 容積率は延べ面積の上限で、家の大きさは2つの両方で決まる
- 最後は土地のある自治体の建築の窓口や、建築士に確かめると安心





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