建ぺい率オーバーの中古物件|買う前に確かめることとリスク

建ぺい率オーバーの中古物件で買う前に確かめることを紹介する記事のアイキャッチ。中古の一戸建てと図面、書類

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気に入った中古の家を見つけたのに、資料に「建ぺい率オーバー」と書いてあった。『買っても大丈夫なの?』と手が止まってしまいますよね。

結論から言うと、建ぺい率オーバーの中古物件は、なぜ超えているかを確かめれば、買った後のリスクが見えてきます。そのために使うのが「図面」「現況」「重要事項説明書」の3つです。

この記事では、3つを照らし合わせるチェックリストと、考えておきたいリスク、誰に何を聞けばいいかをお伝えします。

目次

建ぺい率オーバーの中古物件は買っていい?

先に結論

建ぺい率オーバーの中古物件を買うこと自体は、選択肢の1つです。ただ、違反建築物か既存不適格かで、住宅ローン・建て替え・増築への影響が変わります。どちらに当たるかを確かめてから判断しましょう。

建ぺい率(建蔽率)は、敷地の広さに対する、建物を真上から見た広さ(建築面積)の割合です。例えば敷地120㎡で建ぺい率60%なら、建築面積は72㎡までです。

中古の家では、この上限を超えている物件を見かけることがあります。超えている理由は大きく2つに分かれるんです。

種類どんな物件買った後の主な影響
違反建築物建てた時から超えている、またはあとから増築して超えた是正の命令を受けることがある。ローンが組みにくい
既存不適格建てた時は基準に合っていて、後のルール変更で合わなくなったそのまま住める。建て替えや増築では今の基準に合わせる

既存不適格は、建築基準法3条2項で、新しい規定を適用しないとされている建物です。違法な建物ではありません。

一方で、改正前の規定にも合っていなかった建物は、違反建築物として扱われます。『古い家だからどれも既存不適格だろう』とは言い切れないんです。

中古の家で超えている主な理由

建ぺい率超過の物件には、いくつかよくある形があります。どれに当たりそうかを先に思い浮かべておくと、資料の見方が変わりますよ。

よくある形当たりそうな種類
あとから部屋やサンルームを足しているあとからの増築による違反
物置やカーポートを後から建てている建築物に当たれば、増えた分で超えることがある
建てた後に地域の建ぺい率が変わった既存不適格
申請の図面より大きく建っている建てた時からの違反

建ぺい率オーバー全体の扱いは建ぺい率オーバーするとどうなる?でまとめています。

図面・現況・重要事項説明書で照らし合わせるチェックリスト

ここでの結論

建ぺい率超過の物件は「図面(建てた時の計画)」「現況(今建っている建物)」「重要事項説明書(今の法律の制限)」の3つを並べると、どこで超えたのかが見えてきます。1つだけ見ても分かりません。

3つの資料は、それぞれ見ている時点が違います。並べて見比べるのがコツですよ。

中古物件の建ぺい率を、図面、現況、重要事項説明書の3つで照らし合わせて確かめるチェックリストの図解

1つ目は図面と書類(建てた時の計画)

図面と書類で見ること
  • 確認済証と検査済証があるか
  • 確認申請の図面に、建築面積・敷地面積・建ぺい率が書かれているか
  • 建てた当時の建ぺい率に収まっていたか
  • 増築の確認済証など、あとから工事をした記録があるか

確認済証は工事の前に計画が基準に合うと確かめた書類、検査済証は工事のあとに検査を受けた書類です。検査済証があれば、建てた時点で検査を受けていたことが分かります。

2つ目は現況(今建っている建物)

現況で見ること
  • 図面にない部屋やサンルームが増えていないか
  • 物置・カーポートなど、別に建っているものがないか
  • 外壁の位置が、図面とずれていないか
  • 道路のセットバックで、敷地が図面より狭くなっていないか
図面と見比べたい中古の一戸建てのイメージ。あとから付けたサンルームなどが建ぺい率に関わることがある

内見の時に、図面を持って家の周りを一周してみてください。図面にない屋根や壁があれば、そこが超えた理由かもしれません。

外壁の色や屋根の形がほかと違う部分は、あとから足した部分のこともあります。気になった所は写真に撮っておき、不動産会社に「ここは建てた時からありますか?」と聞いてみてください。

3つ目は重要事項説明書(今の法律の制限)

重要事項説明書で見ること
  • 用途地域と、今の建ぺい率・容積率
  • 角地や防火地域の緩和の有無
  • 確認済証・検査済証の保存状況
  • 建ぺい率を超えていることの説明があるか

重要事項説明は、契約が成立するまでに、宅地建物取引士が書面で行うものです。契約の直前に初めて読むと焦ってしまうので、事前に写しをもらって読んでおくと安心ですよ。

土地や建物の売買では、建築基準法の建ぺい率の制限の概要が、重要事項説明の対象になっています。確認済証・検査済証の一部がない時は、その旨を書くよう国土交通省の考え方で示されています。

図面現況重要事項説明書考えられること
上限に収まっている図面どおり今の上限を超えている数値が変わった既存不適格の可能性
上限に収まっている増えた部分がある今の上限を超えているあとからの増築による超過の可能性
上限を超えている図面どおり今の上限を超えている建てた時からの超過の可能性
図面がない不明今の上限を超えている調査や窓口での確認が必要

チェックリストを使ってみた例

例えば、敷地120㎡・建ぺい率60%(上限72㎡)の中古の家を考えます。数字は説明用の例です。

資料分かったこと
図面建築面積70㎡で、70㎡÷120㎡=約58%。当時は上限に収まっていた
現況図面にないサンルームが8㎡あり、合計78㎡
重要事項説明書今の建ぺい率は60%のまま

合計78㎡÷120㎡=65%なので、上限を超えています。図面の時点では収まっていて、数値も変わっていないので「あとからの増築による超過」に近いと見当がつきます。

表の「可能性」は、あくまで見当です。最後は建築士や自治体の窓口に見てもらうと確実です。

建ぺい率超過の物件で考えておきたいリスク

ここでの結論

建ぺい率超過の物件で考えておきたいのは「住宅ローン」「建て替え」「増築」「是正の命令」「将来の売却」の5つです。違反建築物か既存不適格かで、それぞれの重さが変わります。

『安いから買いたいけど、何が困るのか分からない』という方も多いはずです。先にリスクを並べてみましょう。

リスク違反建築物既存不適格
住宅ローン融資の対象にならない場合がある金融機関ごとに判断
建て替え今の建ぺい率に合わせる今の建ぺい率に合わせる
増築今の建ぺい率に合わせる今の建ぺい率に合わせる
大規模な修繕違反の状態はそのまま残る建ぺい率への適合は求められない
是正の命令所有者も命令の相手になる対象ではない
将来の売却買う人のローンにも同じ影響がある買う人のローンにも影響がありうる

住宅ローンが組みにくい

住宅金融支援機構のフラット35は、建築基準法に合わない場合などは融資の対象にならない場合があると案内しています。是正の命令を受けて直していない住宅も、対象外とされています。

民間の住宅ローンでどう扱うかは、金融機関によって違います。くわしくは建ぺい率オーバーの家で住宅ローンは組める?で紹介しています。

建て替えると小さくなることがある

例えば、敷地120㎡で今の建築面積が78㎡(65%)、地域の建ぺい率が60%の物件を考えます。建て替えると上限は120㎡×0.6=72㎡で、6㎡小さくなる計算です。

1坪約3.3㎡で換算すると、約1.8坪の差です。今の間取りをそのまま建て直せない場合もあるので、将来まで住むつもりなら知っておきたい点ですね。

増築できる余地はほとんどない

すでに上限を超えている家では、建築面積を増やす増築はほぼできません。先ほどの例のように65%の家なら、60%の上限まで余地がないからです。

『買ったあとに子ども部屋を足せばいい』と考えている時は、計画を見直しておきましょう。床を増やすなら、建築面積が増えない2階の使い方などを建築士に相談する方法もあります。

よくある失敗

『今住む分には困らないから』と建て替えのことを考えずに買い、何十年か後に今より小さい家しか建てられないと知ることがあります。買う前に、建て替えた時の上限も計算しておきましょう。

是正の命令の相手には所有者も入る

違反建築物について、特定行政庁は工事の停止や、猶予期限をつけた除却・改築・使用制限などを命じることができます。命令の相手には、建てた人だけでなく所有者や住んでいる人も入っています。

特定行政庁は、建築のルールを地域で運用している自治体のことです。命令の前には通知や意見を言う機会などの手続きもあります。

将来売る時のことも考えておく

今の自分が住宅ローンで苦労した物件は、将来売る時に買う人も同じように苦労することがあります。売りやすさまで考えると、どの種類の超過なのかは早めに知っておきたいところです。

誰に何を聞く?確かめる相手と聞き方

ここでの結論

建ぺい率オーバーの中古物件は、不動産会社・自治体の窓口・建築士の3者に、それぞれ違うことを聞くと話が早く進みます。1か所で全部を確かめようとしないのがコツです。

『誰に聞けばいいのか分からない』という声もよく聞きます。聞く相手と内容を表にしてみました。

相手聞くこと
不動産会社(仲介)確認済証・検査済証・図面の有無、超えている理由、増築の記録
自治体の建築の窓口台帳記載事項証明書が取れるか、建てた当時の建ぺい率
建築士今の建築面積の測り直し、建て替えや増築の時の上限
金融機関その物件で住宅ローンの審査を受けられるか
建ぺい率オーバーの中古物件で、不動産会社、自治体の窓口、建築士、金融機関に順に確かめることを示した図解
確かめる順番
  1. 不動産会社に、書類の有無と超えている理由を聞く
  2. 書類がなければ、自治体の窓口で台帳記載事項証明書が取れるか聞く
  3. 図面と現況が違えば、建築士に測り直しを相談する
  4. 金融機関に、物件の情報を伝えて事前に相談する

不動産会社には、例えばこんなふうに聞いてみてください。

「この物件の建ぺい率オーバーは、建てた時からですか?それとも増築によるものですか?」
「建てた時の図面では収まっていて、後から北側に部屋を足しています。増築の確認済証は見つかっていません」

答えが分かれば、3種類のどれに近いかの見当がつきます。言いにくそうな時ほど、書類で見せてもらうと安心ですよ。

金融機関に相談する時は、物件の資料を見せながらこう聞いてみるとスムーズです。

「この物件は建ぺい率が65%で、上限の60%を超えています。この条件で審査を受けられますか?」
「物件の資料を確認してから、審査の対象になるかをお伝えしますね」

自治体の窓口で聞くこと

自治体の建築の窓口では、建てた時の記録や、当時の建ぺい率を教えてもらえることがあります。住所や建てた年が分かる資料を持っていくと、話が早く進みますよ。

「この住所の家について、建築確認の記録が残っているか知りたいです」
「台帳を確認しますね。記録があれば、台帳記載事項証明書を出せる場合があります」

検査済証がない時の調べ方

検査済証がない建物には、国のガイドラインに沿った法適合状況調査という仕組みがあります。その報告書は、増改築の時の建築確認の資料などに使えるとされています。

買ったあとにできること、やってはいけないこと

ここでの結論

既存不適格なら、大規模な修繕や模様替えをしても建ぺい率への適合は求められません。一方で、超えている部分を隠したり、確認を受けずに増やしたりするのはやめておきましょう。

建ぺい率超過の物件を買ったあとも、暮らしの中で直したり広げたりしたくなる場面がありますよね。できることと、やってはいけないことを分けておきます。

できること
  • 既存不適格の家で、屋根や外壁などの大規模な修繕をする
  • 建ぺい率に収まる範囲で、増築やリフォームを計画する
  • 違反の部分を取り除いて、建ぺい率に収める
やってはいけないこと
  • 確認がいらないからと、上限を超えて部屋を足す
  • 超えていることを、次に売る時の相手に伝えない
  • 検査のあとに部屋を増やす

防火地域・準防火地域の外で、床面積10㎡以内の増築なら建築確認の手続きはいりません。ただ、建ぺい率の基準は守る必要があります。

違反の部分を取り除いて収める考え方

あとから足した部分で超えている場合は、その部分を取り除けば上限に収まることがあります。先ほどの例なら、8㎡のサンルームを取り除けば70㎡で約58%になり、60%に収まる計算です。

ただ、取り除き方や、建築面積の数え方には細かい決まりがあります。工事の前に、建築士や工事を頼む会社に計算してもらうと安心です。

増築を考えている時は、増築・リフォームと建ぺい率も見てみてください。

よくある相談:建ぺい率オーバーの中古物件で迷うところ

ここでの結論

よく読まれているのは「是正の義務は買った人にある?」「隣の土地を買えば解決する?」「何年前の家ならオーバーでも建てられた?」の3つです。

知恵袋などで見かける相談を要約して、答えてみます。

買ったら是正の義務は自分にある?

「建ぺい率オーバーの中古物件を買ったら、違反を直す義務は自分にあるのか」という相談は、とても多く読まれています。

違反建築物の場合、建築基準法9条の是正の命令の相手には、所有者・管理者・占有者も入っています。買う前に、違反建築物か既存不適格かを確かめておくことが大切なんです。

隣の更地を買えば建ぺい率オーバーは直る?

「建ぺい率オーバーの中古の家の隣が更地。そこを買って土地を合わせれば解決するか」という相談もあります。

計算の上では、敷地面積が増えれば建ぺい率は下がります。例えば建築面積78㎡なら、敷地120㎡では65%、敷地150㎡では52%です。150㎡で60%なら上限は90㎡なので、計算の上では収まることになります。

ただ、登記で土地を合わせることと、建ぺい率を計算する敷地の考え方は別のものです。その土地を1つの敷地として扱えるかは、建築士や自治体の窓口に確かめてみてください。

何年前の家なら、オーバーでも建てられた?

「中古でオーバーの物件をよく見る。何年前までは超えて建てられたのか」という相談も見かけます。

年数で決まるわけではありません。建築基準法は昭和25年に施行されていて、建てた時の基準に合っていたかどうかで、既存不適格か違反建築物かが分かれます。

相談答えの要点
是正の義務は自分に?違反建築物なら、所有者も命令の相手になる
隣の土地を買えば?計算上は下がるが、1つの敷地になるかは確認が必要
何年前なら建てられた?年数ではなく、当時の基準に合っていたかで決まる

中古の家を見比べるうちに、新しく建てる選択肢が気になってくる方もいます。土地の建ぺい率に合わせてどんな家が建つのか、住宅会社に具体的なプランで出してもらって比べる方法もあります。

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よくある質問

建ぺい率オーバーの中古物件は重要事項説明で教えてもらえますか?

売買では、建ぺい率の制限の概要や、確認済証・検査済証の保存状況が説明の対象になっています。超えている理由までは分からないこともあるので、不動産会社に直接聞いてみてください。

建ぺい率が少しだけ超えている物件でもローンに影響しますか?

少しでも超えていれば、基準に合っていないことになります。例えば敷地120㎡で61.5%なら、上限72㎡に対して73.8㎡で、1.8㎡の超過です。どこまで審査に影響するかは金融機関ごとに違うので、事前に相談してみてください。

既存不適格の中古物件はリフォームできますか?

大規模な修繕や模様替えなら、建ぺい率への適合は求められません。ただ、建築面積が増える増築は今の建ぺい率に合わせる必要があります。

カーポートのせいで建ぺい率超過になっている物件はどう考えればいいですか?

自治体の説明でも、カーポートは建築物に分類されています。開放性の高い構造なら端から1m以内を建築面積に入れない扱いもあるので、建築士に数え直してもらうと、超えているかどうかがはっきりします。

既存不適格かどうかは誰が判断してくれますか?

建てた時の書類と当時の建ぺい率をそろえて、自治体の建築の窓口や建築士に見てもらうのが確実です。不動産会社にも、分かっている範囲を聞いてみてください。

建ぺい率オーバーかどうかは登記簿で分かりますか?

登記簿には、建ぺい率や建築面積は載っていません。図面や確認済証、重要事項説明書、今の建物の測り直しで確かめてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 建ぺい率オーバーの中古物件は、違反建築物か既存不適格かで影響が変わる
  • 「図面」「現況」「重要事項説明書」の3つを並べて、超えた理由を探す
  • 住宅ローン・建て替え・増築・是正の命令・売却の5つのリスクを考えておく
  • 不動産会社・自治体の窓口・建築士・金融機関に、それぞれ違うことを聞く
  • 超えている部分を隠したり、確認なしに増やしたりはしない
建ぺい率ドットコム

建ぺい率ドットコム 編集部

建ぺい率の意味と計算、用途地域ごとの数値、角地や防火地域の緩和、カーポートやバルコニーの扱い、調べ方までを、家づくりや土地探しの前に分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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