庇・軒の出・屋根は建ぺい率に入る?1mを超える場合の扱い

庇や軒の出が建ぺい率に入るかを紹介する記事のアイキャッチ。玄関の上に張り出した庇のある家

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玄関や窓の上に付ける庇(ひさし)や、屋根の軒の出。『これって建ぺい率に入るの?』と図面を前に手が止まった方も多いはずです。

結論から言うと、庇や軒は壁から1m未満の出なら建ぺい率の計算に入りません。1m以上出ている時だけ、先端から1mを引いた残りの部分が建築面積に入ります。

この記事を読めば、庇・軒・屋根がどこまで建ぺい率に入るのかを、自分で計算して確かめられるようになりますよ。

目次

庇・軒・屋根は建ぺい率に入る?分かれ目は「出幅1m」

先に結論

庇や軒の出が壁の中心線から1m未満なら、建築面積に入りません。1m以上出ていれば、先端から1m下がった線までが建築面積に入ります。

建ぺい率(建蔽率)は、建築面積を敷地面積で割った割合です。そして建築面積の測り方は、建築基準法施行令2条1項2号で決められています。

この条文では、軒・ひさし・はね出し縁などをまとめて「軒等」と呼んでいます。軒等が外壁や柱の中心線から水平距離1m以上突き出ている時は、「その端から水平距離一メートル後退した線」までを建築面積に入れる、というルールなんです。

かみくだくと、こういうことです。

庇・軒の出建築面積に入る幅
1m未満入らない
1m以上出幅から1mを引いた分

つまり、屋根や庇が建ぺい率に入るかどうかは「何でできているか」ではなく、「壁から何m出ているか」で決まります。屋根の軒も、玄関の庇も、同じ考え方で見て大丈夫ですよ。

建築面積は「真上から見た影」で考える

建築面積は、建物を真上から見た時の水平投影面積です。水平投影面積とは、真上から光を当てた時に地面に落ちる影の広さのことですね。

本来なら庇の影も建物の一部ですが、短い庇まで全部数えると窮屈になります。そこで、1mまでは数えなくてよい、という線引きがされているんです。

バルコニーやはね出し縁も同じ仲間

条文の「はね出し縁」には、壁から張り出したバルコニーやベランダも含まれます。神奈川県の取扱基準でも、バルコニーやベランダは、はね出し縁に当たるものとして扱うとされています。

『じゃあ、2階のバルコニーも1mまでは入らないの?』と思いますよね。柱で支えていない張り出しのバルコニーなら、庇と同じ1mの考え方で見ることになります。

ただ、柱や袖壁があるバルコニー、三方を壁で囲んだバルコニーは別の測り方になります。くわしくはバルコニー・ベランダは建ぺい率に入る?で紹介しています。

建築面積の測り方の全体は、建築面積とは?建ぺい率に使う面積の測り方でくわしく紹介しています。

出幅1m以内と1m超えで、入る幅はこう変わる

ここでの結論

出幅が1m以上の時は「出幅から1mを引いた長さ」が建築面積に入る奥行きです。それに庇の横幅を掛けると、増える建築面積が出ます。

『1mを超えたら、庇の全部が入るの?』と思いますよね。実はそうではなく、先端から1mの部分は超えても数えません。

断面で見ると、壁の中心線から庇の先端までのうち、先端側の1mを切り落とした残りが建築面積に入るイメージです。

壁の断面から出た庇を、出幅1m以内と1m超えの2つに分け、先端から1m下がった線までが建築面積に入ることを示した図解

出幅ごとの早見表

例として、横幅3mの庇を付けた場合で計算してみました。

出幅(壁の中心線から)建築面積に入る奥行き横幅3mの時に増える建築面積
0.6m0m0㎡
0.9m0m0㎡
1.2m0.2m0.6㎡
1.5m0.5m1.5㎡
2.0m1.0m3.0㎡

例えば出幅1.5mなら、1.5mから1mを引いた0.5mが入る奥行きです。横幅3mを掛けて、0.5×3=1.5㎡が建築面積に足されます。

建ぺい率で見るとどれくらいの差?

例えば、敷地120㎡・建ぺい率60%の土地なら、建築面積の上限は120×0.6=72㎡です。本体の建築面積が71㎡なら、余りは1㎡しかありません。

ここに出幅1.5m・横幅3mの庇を付けると、1.5㎡が増えて72.5㎡になります。上限の72㎡を超えてしまうんです。

よくある失敗

本体を建ぺい率ギリギリで計画したあとに、「雨が当たるから」と庇を深くして上限を超えてしまうケースです。庇の出は、本体と一緒に最初から計算に入れておきましょう。

上限ぴったりで建てる時の注意点は、建ぺい率ギリギリで建てる時の注意点にまとめています。

屋根・軒先・柱付きの庇はどう測る?

ここでの結論

軒先は、壁の中心線から屋根の先端までの水平距離で測ります。庇の先に柱が立つと、その柱が新しい外周の線になり、測り方が変わります。

ここが大事なところです。同じ1mルールでも、どこから測るか・柱があるかで結果が変わります。

軒の出は「壁の中心線から軒先まで」の水平距離

屋根の軒の出は、外壁の中心線から軒先(屋根の先端)までを、真上から見た水平の距離で測ります。屋根の斜めの長さではありません。

勾配のある屋根だと、斜めに測った長さの方が長くなります。『図面の数字と、自分で測った長さが違う』という時は、斜めに測っていないか見てみてください。

柱で支える庇は「柱の中心線」が外周になる

先に柱を立てて支える庇は、柱のない庇とは考え方が違います。神奈川県の取扱基準では、柱のあるポーチなどは柱に外壁等の中心線を設定して測るとされています。

つまり柱で囲まれた範囲は、出幅に関係なく建築面積に入ると考えておくのが安全です。玄関の柱付きポーチは玄関ポーチは建ぺい率に入る?でくわしく紹介しています。

庇・屋根の形建築面積の考え方
柱のない庇・軒出幅1m以上なら、先端から1m下がった線まで入る
柱で支える庇柱の中心線で囲まれた部分が入る
柱と屋根だけの独立した屋根それ自体が建築物になる

「庇の緩和」と呼ばれるものの中身

「建ぺい率の庇の緩和」という言い方を見かけることがあります。多くは、ここまで見てきた「1m未満は入らない」というルールのことを指しているんです。

ほかに、施行令には「特例軒等」という扱いもあります。ただしこれは、工場や倉庫で荷物の積み下ろしに使う軒のためのもので、住宅の庇には関係しません。

開放的な屋根の扱いは別のルール

柱と屋根だけでできた、壁のない開放的な建物には、国土交通省の告示で決められた4つの条件を満たすと端から1mを入れない扱いがあります。カーポートなどで使われるルールで、くわしくはカーポートの建ぺい率緩和で紹介しています。

屋根なしの部分は建ぺい率に入らない?

建築基準法の建築物は、屋根と柱か壁があるものです。屋根がない駐車スペースやテラスの床は、この意味での建物に当たりにくく、建ぺい率の話になりにくいんです。

ただし、あとから屋根を掛けると話が変わります。屋根のない駐車場の扱いは、屋根のない駐車場は建ぺい率に入る?で紹介しています。

よくある相談:庇の出と建ぺい率

ここでの結論

相談で多いのは「何cmなら入らないか」「2階から出した庇はどこから測るか」「あとから庇を大きくしていいか」の3つです。

Q&Aサイトでよく読まれている相談を、要約して答えてみます。

玄関前の90cmの庇は入る?

注文住宅で、玄関前に出幅90cmほどの庇を付けてもらったけれど、建ぺい率は大丈夫か。庇の定義がよく分からない、という相談です。

壁の中心線から90cmの出なら、1m未満なので建築面積には入りません。ただし、庇の先に柱がある場合は別の考え方になるので、柱の有無も図面で見ておきましょう。

2階の壁から出した庇は、どこから測る?

玄関の上の2階が1階より70cmへこんでいて、そのへこんだ壁から160cmの庇を出したい。1階の壁から見ると90cmの出になるが、建ぺい率に入るのか、という相談もあります。

2階の壁から測ると、160cmから1mを引いた60cmが入る奥行きです。ただ、その60cmは1階の壁の内側に収まるので、もともと1階の建築面積に含まれている範囲なんです。

1階の壁から見ても90cmの出で、1m未満です。どちらで見ても建築面積は増えない計算になりますが、最後は図面で設計者に確かめておくと安心ですよ。

建売を買ったあと、庇を大きくしたい

建売住宅を買ったあとで、雨の日に濡れないよう庇を大きくしたい、という相談も読まれています。

この場合、まず確認済証や図面で、今の建築面積と建ぺい率の上限を見ておきましょう。庇を1m以上に伸ばすと、超えた分が建築面積に入ります。

柱を立てて支える形にすると、柱で囲まれた範囲が建築面積に入ることも。余りが少ない家だと、思った大きさにできないこともあるんです。

後から庇を足す・大きくする前のチェック

ここでの結論

後付けの庇は、今の建物の建築面積にどれだけ余りがあるかで、付けられる大きさが決まります。工事の前に数字で確かめておきましょう。

『庇くらい、工務店に頼めば大丈夫でしょ』と思いがちですよね。ただ、建ぺい率を超えるかどうかは、工事をする人ではなく建物の持ち主の問題になります。

庇を付ける前に確かめること
  • 確認済証や図面で、今の建築面積と敷地面積を確かめる
  • 建ぺい率の上限から、建築面積の余りを計算する
  • 新しい庇の出幅が1m以上になるかを確かめる
  • 柱を立てる形かどうかを業者に確かめる
  • 柱付きなら、柱で囲む面積も余りに収まるか計算する
後付けの庇を付ける前に、図面の確認から建築面積の余りの計算、柱の有無の確認までを順番に並べた図解

例えば敷地100㎡・建ぺい率50%で、今の建築面積が46㎡なら、余りは50から46を引いた4㎡です。出幅2mで横幅4mの柱なし庇なら、入る奥行きは1mなので1×4=4㎡で、ちょうど上限の50㎡に届きます。

ここに柱を立てると、柱で囲まれた範囲が入るため、上限を超えるおそれがあります。迷う時は、土地のある自治体の建築指導課(建築の窓口)か、設計をした住宅会社に図面を見せて聞いてみてください。

例えば、こんなふうに聞くと話が早いですよ。

「この庇を付けても、建ぺい率の上限に収まりますか?」
「図面の建築面積と合わせて、計算してみますね」

上限を超えて付けるのはやめておきましょう

建ぺい率を超えた状態は、違反建築物として扱われるおそれがあります。売る時や、住宅ローンの審査で説明が必要になることもあるんです。

「少しだけだから」と超えて付けるのは避けておきましょう。超えた場合にどうなるかは、建ぺい率オーバーするとどうなる?で紹介しています。

これから建てる人は、庇も含めてプランで比べる

これから家を建てる方は、庇や軒の出も最初から建築面積に入れて計画しておくのがいちばん楽です。軒を深くしたいのか、部屋を広くしたいのかで、同じ土地でも間取りが変わってきます。

建ぺい率が気になる土地なら、住宅会社に具体的なプランを出してもらって、庇や軒も含めた建築面積で比べてみるのも1つの方法です。

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よくある質問

庇は建ぺい率に入りますか?

壁の中心線から1m未満の出なら入りません。1m以上出ている時は、先端から1mを引いた部分が建築面積に入ります。

屋根の軒先は建ぺい率に入る?

軒も庇と同じルールです。外壁の中心線から軒先までの水平距離が1m以上なら、先端から1m下がった線までが建築面積に入ります。

庇に柱を付けるとどうなりますか?

柱がある場合は、柱の中心線で囲まれた範囲が建築面積に入る考え方になります。柱なしの庇より建築面積が増えることが多いので、付ける前に計算しておきましょう。

屋根なしのテラスや駐車スペースは建ぺい率に入りますか?

屋根のない床や地面は、建築基準法の建築物に当たりにくいため、建ぺい率の計算に出てこないことが多いです。あとから屋根を掛ける時は、その屋根の扱いを改めて確かめておきましょう。

建ぺい率の庇の緩和とは何ですか?

多くは、1m未満の出なら建築面積に入れないというルールのことです。工場や倉庫の荷さばき用の軒には別の扱いがありますが、住宅の庇には関係しません。

まとめ

この記事の要点
  • 庇・軒・屋根の出は、壁の中心線から1m未満なら建ぺい率に入らない
  • 1m以上なら、出幅から1mを引いた奥行きが建築面積に入る
  • 軒の出は斜めではなく、真上から見た水平距離で測る
  • 柱で支える庇は、柱で囲まれた範囲が建築面積に入る
  • 後付けの庇は、今の建築面積の余りを計算してから決める
建ぺい率ドットコム

建ぺい率ドットコム 編集部

建ぺい率の意味と計算、用途地域ごとの数値、角地や防火地域の緩和、カーポートやバルコニーの扱い、調べ方までを、家づくりや土地探しの前に分かるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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