当サイトの記事は編集部が法令(e-Gov法令検索)や国土交通省・自治体などの公的な情報を調べて独自に執筆しています。記事内に家づくり・土地活用のサービスへの案内(広告)を含みます。
土地の資料を見ると、「第一種中高層住居専用地域」「準工業地域」など、長い名前の用途地域が書いてありますよね。『この地域だと建ぺい率は何%なの?』と迷う方も多いはずです。
結論から言うと、用途地域ごとの建ぺい率は、建築基準法で地域ごとに決められた選択肢の中から、都市計画で1つ選ばれています。商業地域だけは80%の1つに決まっていて、ほかの地域は2〜4つの選択肢があります。
この記事を読めば、13種類の用途地域の建ぺい率と容積率の一覧と、自分の土地の数値の見つけ方が分かりますよ。
用途地域ごとの建ぺい率一覧(13種類)
用途地域の建ぺい率は、30・40・50・60・80%のどれかです。どの選択肢があるかは地域の種類で決まり、そのうちどれになるかは土地ごとの都市計画で決まります。
建ぺい率(建蔽率)は、建物を真上から見た広さ(建築面積)が、敷地の何割までかを決めるルールです。建築基準法53条1項で、用途地域ごとに選べる数値が決められています。
用途地域は、都市計画法で13種類が決められています。13種類それぞれの、選べる建ぺい率と容積率を一覧にしました。
| 用途地域 | 選べる建ぺい率 | 選べる容積率 |
|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 30・40・50・60% | 50・60・80・100・150・200% |
| 第二種低層住居専用地域 | 30・40・50・60% | 50・60・80・100・150・200% |
| 田園住居地域 | 30・40・50・60% | 50・60・80・100・150・200% |
| 第一種中高層住居専用地域 | 30・40・50・60% | 100・150・200・300・400・500% |
| 第二種中高層住居専用地域 | 30・40・50・60% | 100・150・200・300・400・500% |
| 第一種住居地域 | 50・60・80% | 100・150・200・300・400・500% |
| 第二種住居地域 | 50・60・80% | 100・150・200・300・400・500% |
| 準住居地域 | 50・60・80% | 100・150・200・300・400・500% |
| 近隣商業地域 | 60・80% | 100・150・200・300・400・500% |
| 商業地域 | 80% | 200〜1300%(12段階) |
| 準工業地域 | 50・60・80% | 100・150・200・300・400・500% |
| 工業地域 | 50・60% | 100・150・200・300・400% |
| 工業専用地域 | 30・40・50・60% | 100・150・200・300・400% |
| (参考)用途地域の指定のない区域 | 30・40・50・60・70% | 50・80・100・200・300・400% |
この建ぺい率の一覧は、建築基準法53条1項と52条1項の数値を並べたものです。表の中で、その土地にどの数値が当てはまるかは、自治体の都市計画で決まっています。
一覧表の読み方
例えば第一種住居地域なら、建ぺい率は50・60・80%のどれかです。実際の土地では、そのうちの1つ、例えば「60%」が指定されています。
『じゃあ自分の土地は何%?』という答えは、一覧表だけでは出ません。地域の名前で選択肢を絞り、都市計画図などで指定された数値を確かめる、という2段階で見ていきます。
「用途地域の指定のない区域」は13種類には入りません。この区域では、自治体(特定行政庁)が30〜70%の中から区域ごとに決めます。
建ぺい率と容積率は用途地域でセットで決まる
用途地域の都市計画では、建ぺい率と一緒に容積率も決められます。土地の資料に「60%/200%」のように2つ並んで書かれているのは、このためです。
例えば第一種中高層住居専用地域で、建ぺい率60%・容積率200%の敷地100㎡なら、1階は60㎡まで、延べ床は200㎡までです。ただし前面道路の幅が4mなら、住居系の地域では4×0.4で160%となり、延べ床は160㎡までに下がります。
建ぺい率は1階の広さ、容積率は延べ床の広さ、と覚えておくと混乱しにくいですよ。
13の地域を3つのグループで見ると分かりやすい
13の用途地域は「住む地域」「店と住む地域」「働く地域」の3つに分けて見ると、建ぺい率の傾向がつかみやすくなります。住む地域は低め、店の多い地域は高めです。
13種類を1つずつ覚えるのは大変ですよね。そこで、地域の名前をもとに3つのグループに分けて、選べる建ぺい率を並べてみました。
| グループ | 用途地域 | 選べる建ぺい率 |
|---|---|---|
| 住む地域(静かな住宅地) | 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域 | 30・40・50・60% |
| 住む地域(住まいと店などが混ざる) | 第一種・第二種住居地域、準住居地域 | 50・60・80% |
| 店と住む地域 | 近隣商業地域 | 60・80% |
| 店と住む地域 | 商業地域 | 80%のみ |
| 働く地域 | 準工業地域 | 50・60・80% |
| 働く地域 | 工業地域 | 50・60% |
| 働く地域 | 工業専用地域 | 30・40・50・60% |

住む地域:名前に「住居」が付く8つ
名前に「住居」が付く8つの地域は、住まいのための地域です。その中でも「専用」が付く地域と田園住居地域は、30〜60%の低めのメニューから選ばれます。
「専用」が付かない第一種・第二種住居地域と準住居地域は、50・60・80%から選ばれます。住まいの中に店や事務所なども混ざる地域なので、少し高めの数値も選べる形なんです。
低層住居専用地域のくわしいルールは第一種・第二種低層住居専用地域の建ぺい率、中高層や住居地域は中高層住居専用地域・住居地域の建ぺい率で紹介しています。
店と住む地域:近隣商業と商業
近隣商業地域と商業地域は、店や事務所が集まる地域です。近隣商業地域は60・80%、商業地域は80%の1つだけです。
商業地域は、選択肢がない唯一の用途地域なんです。そのぶん建物が密に建ち並びやすい地域とも言えます。くわしくは商業地域・近隣商業地域の建ぺい率で紹介しています。
働く地域:準工業・工業・工業専用
準工業・工業・工業専用の3つは、工場や倉庫などのための地域です。ただし、建ぺい率の選択肢はそれぞれ違います。
工業専用地域は、住宅を建てられない地域です。それでも建ぺい率のメニューは低層住居専用地域と同じ30〜60%なのが、少し意外なところですよね。くわしくは準工業・工業地域の建ぺい率で紹介しています。
- 名前に「専用」が付く住居系と田園住居地域は30〜60%
- 住居地域・準住居地域・準工業地域は50・60・80%
- 商業地域だけは80%に決まっていて、選択肢がない
なぜ用途地域で建ぺい率が違うの?
建ぺい率は、敷地に空地を残して建て詰まりを防ぐためのルールです。地域の使い方に合わせて、どれくらい空地を残すかを変えているので、用途地域ごとに数値が違います。
『住宅地は低くて、商業地は高いのはなぜ?』と思った方もいるはずです。国土交通省は、建ぺい率の目的を「建て詰まり」を防いで、採光や通風を確保し、良い市街地の環境を保つことだと説明しています。
静かな住宅地では、日当たりや風通しを大事にして、空地を多めに残します。店が集まる地域では、土地を建物に使える割合を高くしておく、という考え方です。

誰が数値を選んでいるの?
建築基準法が決めているのは「メニュー」までです。その中からどれを選ぶかは、自治体が都市計画で決めています。
| 決めること | 決める所 | 根拠 |
|---|---|---|
| 地域ごとに選べる数値(メニュー) | 国の法律 | 建築基準法53条1項 |
| 用途地域の指定と、選ぶ数値 | 原則として市町村の都市計画 | 都市計画法8条・15条 |
| 用途地域の指定のない区域の数値 | 特定行政庁(都道府県都市計画審議会の議を経る) | 建築基準法53条1項6号 |
特定行政庁とは、建築の確認や許可を受け持つ自治体のことです。同じ用途地域名でも、自治体によって選ばれている数値が違うのはこのためです。
用途地域は4種類から13種類に増えてきた
用途地域は、はじめから13種類だったわけではありません。国土交通省の資料では、次のように増えてきたと説明されています。
| 時期 | 用途地域の数 |
|---|---|
| 昭和25年(1950年)建築基準法の制定時 | 4地域(住居・商業・準工業・工業) |
| 昭和45年(1970年) | 8地域 |
| 平成4年(1992年) | 12地域(住居系の地域を細かく分けた) |
| 平成30年(2018年) | 13地域(田園住居地域を追加) |
8地域になった年は、資料によって昭和43年の法改正とするものもあります。昔の図面や資料の地域名が今と違うのは、こうした変化があったからです。
建ぺい率に上乗せされる緩和と、制限がなくなる場合
用途地域で決まった建ぺい率に、角地や防火の条件で10%や20%が足されることがあります。80%の地域の防火地域で耐火建築物等を建てると、建ぺい率の制限そのものがなくなります。
一覧表の数値は、あくまで「基本の数値」です。建築基準法53条3項では、条件に当てはまると数値が上乗せされます。
| 条件 | 上乗せ |
|---|---|
| 自治体が指定する角地 | +10% |
| 防火地域(80%の地域を除く)で耐火建築物等 | +10% |
| 準防火地域で耐火建築物等・準耐火建築物等 | +10% |
| 角地と防火の条件の両方 | +20% |
耐火建築物・準耐火建築物は、火事に強いつくりとして法律で決められた建物のことです。防火地域・準防火地域は、火事が広がるのを防ぐために、都市計画で決められる地域です。
80%の地域で、制限がなくなる場合
建ぺい率80%が指定された地域のうち、防火地域内にある耐火建築物等は、建ぺい率の制限が適用されません(53条6項)。つまり、敷地いっぱいまで建てられる可能性があるということです。
80%になりうるのは、第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域です。くわしくは建ぺい率の緩和で紹介しています。
計算例:第一種住居地域・建ぺい率60%の角地
例えば敷地100㎡、建ぺい率60%の第一種住居地域で、角地の指定を受けた場合を見てみましょう。
- 基本の上限: 100㎡×60%=60㎡
- 角地の緩和で70%: 100㎡×70%=70㎡
- 準防火地域で準耐火建築物等にもすると80%: 100㎡×80%=80㎡
自治体によって指定のしかたも違う
大阪市では、平成16年に一部の地域の建ぺい率を80%に変更したと案内されています。対象は第一種・第二種住居地域と準住居地域(風致地区を除く)のすべてと、準工業地域の一部です。この地域で60%を超えて建てる時は、条例で一定の防火性能が求められます。
このように、同じ用途地域でも自治体によって指定の考え方が違います。
「第一種住居地域だから80%いける」と、一覧表の一番大きい数値で計算してしまうことです。実際に指定されているのは選択肢の中の1つなので、土地ごとに確かめてから計算しましょう。
自分の土地の用途地域と建ぺい率の調べ方
土地の用途地域と建ぺい率は、重要事項説明書・自治体の都市計画図・国土交通省の不動産情報ライブラリで確かめられます。最後は自治体の窓口で確かめておくと安心です。
一覧表で選択肢が分かっても、自分の土地の数値はどこかで確かめる必要がありますよね。主な確かめ方を並べました。
| 確かめ方 | 分かること | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 重要事項説明書 | 用途地域名、建ぺい率の制限、容積率の制限 | 土地を買う契約の前 |
| 自治体の都市計画図(Web地図) | 用途地域、建ぺい率、容積率、防火地域など | まず手元で調べたい時 |
| 不動産情報ライブラリ(国土交通省) | 用途地域、防火・準防火地域などを地図で表示 | 全国どこでも見てみたい時 |
| 自治体の窓口(都市計画課・建築指導課など) | 正式な数値、角地の扱い、地区計画など | 設計の前に正式に確かめたい時 |
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、都市計画の情報を地図で重ねて見ることができます。正式な確認は自治体で、というのが基本です。
窓口では、例えばこんなやり取りになります。
「この土地の用途地域と建ぺい率を教えてください」
「第一種住居地域で、建ぺい率60%・容積率200%です。準防火地域にも入っていますね」
- 土地の住所(地番)を確かめる
- 自治体の都市計画図で、用途地域と建ぺい率・容積率を見る
- 一覧表で、その用途地域の選択肢と合っているかを見比べる
- 防火地域・準防火地域、角地の指定があるかを確かめる
- 地区計画など別のルールがないか、自治体の窓口で聞く

調べ方のくわしい手順は建ぺい率の調べ方で紹介しています。
用途地域が分かったら、建つ家をプランで確かめる
用途地域と建ぺい率が分かると、その土地にどれくらいの家が建つかの目安が出せます。ただ、建ぺい率・容積率・高さの制限を全部合わせて間取りにするのは、慣れていないと難しいですよね。
土地の条件を住宅会社に伝えて、具体的な間取りプランを出してもらう方法もあります。複数の会社から、間取りプランや資金計画、土地探しの提案を無料でまとめて受け取れるサービスもありますよ。
タウンライフ家づくり(PR)
建ぺい率に合う間取りプランを、住宅会社に出してもらう
タウンライフ家づくりは、希望の条件を入力すると、住宅会社から間取りプラン・資金計画・土地探しの提案をまとめて無料で受け取れるサービスです。建ぺい率が気になる土地でどんな家が建つか、具体的なプランで比べられます。
無料タウンライフ家づくりを見る提案内容は会社ごとに異なります。サービスの詳細は公式サイトでご確認ください。
よくある相談:用途地域と建ぺい率の知恵袋Q&A
よく読まれているのは「敷地が2つの用途地域にまたがる時」の相談です。建ぺい率は、面積の割合で按分して計算します。
知恵袋などで多く読まれている相談を、要約して答えていきます。
敷地が2つの用途地域にまたがる時、建ぺい率はどうなる?
この相談は、とてもよく読まれています。『広い方の地域の数値を使えばいいの?』と思いがちですが、建ぺい率は面積の割合で按分します(建築基準法53条2項)。
例えば敷地200㎡のうち、120㎡が建ぺい率60%の地域、80㎡が80%の地域にある場合で計算してみます。
| 部分 | 面積 | 建ぺい率 | 建てられる建築面積 |
|---|---|---|---|
| 60%の地域の部分 | 120㎡ | 60% | 72㎡ |
| 80%の地域の部分 | 80㎡ | 80% | 64㎡ |
| 敷地全体 | 200㎡ | 68% | 136㎡ |
家族で土地を見に行くと、こんな会話になりがちです。
「広い方が60%の地域だから、全部60%で計算すればいいよね?」
「建ぺい率は面積の割合で分けて計算するから、全体では68%になるみたい」
敷地全体では136㎡÷200㎡で68%が上限になります。建物の用途の制限は敷地の過半が属する地域のルールで見ますが、建ぺい率はこの按分で計算するので、混同しないようにしましょう。
くわしい計算は建ぺい率が異なる地域にまたがる敷地の計算で紹介しています。
準工業地域で建ぺい率60%・容積率200%の中古物件、どういう意味?
準工業地域で選べる建ぺい率は50・60・80%です。その中から60%が指定されている、ということです。
敷地100㎡なら、建築面積は60㎡まで、延べ床は200㎡までが目安です。ただし前面道路の幅が12m未満なら、準工業地域では原則として「道路の幅×0.6」も容積率の上限になります。
例えば道路の幅が4mなら、4×0.6で240%なので、指定の200%がそのまま使えます。中古物件の場合は、今の建物がこの数値に収まっているかも確かめておくと安心です。
都市計画図で色が塗られていない地域の建ぺい率は?
色が塗られていない所は、用途地域の指定がない区域であることが多いです。この区域では、自治体(特定行政庁)が30〜70%の中から区域ごとに数値を決めています。
都市計画区域の外など、そもそも建ぺい率のルールが適用されない場所もあります。くわしくは非線引き区域・用途地域の指定のない区域の建ぺい率で紹介しています。
宅建の勉強で、用途地域がまたがる問題や道路の幅の問題に悩んでいる方は、宅建試験の建ぺい率も参考にしてみてください。
よくある質問
用途地域ごとの建ぺい率は、全部で何通りありますか?
用途地域の中では、30・40・50・60・80%の5つの数値が使われます。どれを選べるかは用途地域の種類で決まります。
建ぺい率と容積率は、用途地域で同じように決まりますか?
どちらも用途地域ごとに選べる数値が決められていて、その中から都市計画で選ばれます。容積率はさらに前面道路の幅でも上限が決まります。
商業地域の建ぺい率はいくつですか?
80%です。商業地域だけは選択肢がなく、80%に決まっています。防火地域内の耐火建築物等なら、建ぺい率の制限がなくなります。
用途地域が変わることはありますか?
用途地域は都市計画で決まるので、見直されることもあります。古い資料ではなく、今の都市計画図で確かめるようにしましょう。
建ぺい率の一覧を見ても、自分の土地の数値が分かりません。
一覧表で分かるのは選択肢までです。実際の数値は、重要事項説明書や自治体の都市計画図、窓口で確かめてください。
まとめ
- 用途地域ごとの建ぺい率は、建築基準法のメニューから都市計画で1つ選ばれる
- 13の地域は「住む地域」「店と住む地域」「働く地域」に分けると覚えやすい
- 専用の付く住居系と田園住居は30〜60%、商業地域は80%のみ
- 角地や防火の条件で10〜20%上乗せされ、80%の防火地域の耐火建築物等は制限なし
- 敷地が2つの地域にまたがる時は、面積の割合で按分して計算する
- 最後は自治体の窓口や建築士に、自分の土地の数値を確かめる
建ぺい率の基本は建ぺい率とは?意味と計算方法で、容積率との違いは建ぺい率と容積率の違いでおさらいできます。





コメント